GPIFが運用で損失。私たちの年金はどうなる?

将来、私たちが受け取る公的年金の財源となるのが年金積立金です。その管理・運用は、国から託された年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)が行っています。

ところがその積立金の運用先には株式なども含まれ、平成27年度の収益はマイナスだったと報告されました。なぜリスクのある株式で運用するのでしょうか。GPIFの運用方針や運用状況について紹介していきます。

【 目次 】
◆ 運用で年金の財源が減った? 私たちの年金、だいじょうぶ?
◆ なぜ、年金積立金で株式の運用を増やしたの?
◆ GPIFはどのように年金積立金を運用しているの?
◆ 運用管理の透明性を高めるための改革
◆ まとめ

運用で年金の財源が減った? 私たちの年金、だいじょうぶ?

平成28年7月、GPIFから「平成27年度業務概況書」が公開され、年間の収益率がマイナス3.81%、収益額がマイナス5.3098兆円だったことがわかりました。つまり運用で5兆円あまりの損失が発生したということです。

同時に平成13~27年度を通しての収益率は2.70%、収益額も45.4239兆円と増え、年度末の運用資産額134.7475兆円と報告されました。

GPIFは、年金積立金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要であること、短期的には市場の動向によって変動するものであることに留意が必要だと説明しています。ただ平成28年4~6月の報告でも収益率がマイナス3.88%でした。

GPIFは「厚生年金保険事業および国民年金事業の安定に資すること」を目的として設立された組織です。公的年金の給付は、保険料と国庫負担、年金積立金の運用収入と取り崩しを財源としています。そのため政府が年金制度改革を進めるなか、GPIFの運用にも注目が集まっています。

なぜ、年金積立金で株式の運用を増やしたの?

GPIFがどんな資産で運用しているのか、資産構成割合(基本ポートフォリオ)について、変遷をみましょう。

gpif

*参考 年金積立金管理運用独立行政法人HP 、基本ポートフォリオの考え方 より作成

運用資産の比率は、債券が減り、株式資産が増えています。これは長期的な運用利回りを確保するために、資産の組み合わせ(ポートフォリオ)が適切かどうか、安全か、効率的かといった観点から、検証を行って見直した結果です。平成26年10月には、実質的な運用利回り1.7%を確保するという中期目標のもとに基本ポートフォリオが変更されました。

積立金の収益率の増減は運用環境や運用方針などにもよるので、単純に株式投資を増やしたから損失を出したというわけではありません。

GPIFはどのように年金積立金を運用しているの?

資産運用にはリスクが伴いますが、年金積立金の運用は国民全体の生活に関わるものなので、一定の運用方針の下で行われています。

まず法律上GPIFには「長期的な観点からの安全かつ効率的な運用」が求められます。運用に当たり、できるだけ低いリスクで必要な収益を得るために、種類の異なるさまざまな資産に投資をする「分散投資」、長期的な観点から「基本ポートフォリオを定めて維持・管理すること」の2つが運用の基本です。
実際の運用は、信託銀行や投資顧問会社などに委託しています。

GPIFは、運用受託機関へ委託をする際に、資産ごとの運用手法やベンチマーク(運用目標)など具体的なガイドラインを指示しています。また、運用委託機関の選定や評価も行っています。

運用管理の透明性を高めるための改革

GPIFは大きな社会的責任を負っており、そのため高い倫理や運用の透明性、専門性が求められます。

平成27年には内部統制の強化のため、「投資原則」と「行動規範」が策定されました。

現在、基本ポートフォリオの策定や運用委託機関の管理などはGPIFの理事長が行っていますが、これを審議したり監視したりするため、金融・経済の専門家からなる運用委員会が設置されています。

GPIFは5年ごとに中期計画を策定しており、平成27~31年度の第3中期計画では、運用の透明性の向上が盛り込まれました。たとえば、初めて取り組む運用手法や新たな運用対象の運用方針、運用受託機関の選定過程などは事前に運用委員会の審議を経ることになっています。また、その実施状況や、運用委員会からの要求があった事項については報告しなければなりません。

GPIFは巨額の資金を扱うことから、市場への影響や株式運用では企業経営への影響に配慮すること、株主議決権の適切な行使、株式の個別銘柄の選定は行わないことなども定められています。

まとめ

GPIFが発表する3カ月ごとの運用状況や、年度ごとの「業務概況書」は、大きな注目を集めています。しかし、単に積立金が減ったか増えたか、どの企業に投資をしたのかということのみに関心を持つだけでよいのでしょうか?

運用を任せているのは厚生年金や国民年金の被保険者である私たちです。運用の利益も損失も私たちに返ってくるものです。なぜそのような運用結果になったのか、そもそもどんな運用をしていたのか、適切に業務が行われているか、しっかり見守っていきたいものです。

参考:GPIF「平成27年度業務概況書」「GPIF HP 基本的な考え方」

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