親が要介護になったら仕事はどうする? 介護と仕事の両立を支援する制度が拡大

介護や看護で仕事を辞めた人は、1年間で10万人以上、うち女性は8.12万人で、男性は1.99万人に上ります。介護による離職は、その人の生活設計や家計への影響が少なくありません。

親の介護をするのは40~60歳代が中心で、介護による離職には金銭面の不安が付きまといます。政府は雇用保険法の改正など、介護と仕事を両立できるような制度改正や支援を拡充しています。家族の介護が発生した時に備え、頼れる制度を知っておきましょう。

参照:総務省「平成24年就業構造基本調査」平成19年10月~24年9月の数値

親の介護で仕事を辞めなくていい? 介護する人が利用しやすい介護休業制度に

家族が要介護になったとき、働き続けるために頼りになるのが、介護休業や介護休業中の給付です。平成28年3月に改正された育児・介護休業法、雇用保険法では、介護する人にとってより使いやすく、仕事を続けやすい制度に見直されました。

主な変更点は以下の5つです。

(1) 介護休業
対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に取得可能に。
(現行は原則1回)

(2) 介護休業給付の給付率の引上げ
賃金の40%から67%に引上げ。

(3)介護休暇
年5日ある介護休暇は、半日(所定労働時間の二分の一)単位の取得が可能に。
(現行は1日単位)

(4)介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)
介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能に。
(現行は介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能)

(5)介護のための所定外労働の免除(新設)
介護終了までの期間、請求することが可能。

改正法の施行は、介護休業給付の引き上げが8月から、ほかは平成29年1月からとなります。

また介護休業を取得したり、時間外労働をしないことに対して、現行では事業主が不利益な取扱いをすることが禁止されています。

今回それに加えて、職場で上司や同僚から就業環境が害されることがないよう、防止措置を取ることが義務付けられました。

介護はひとりで抱え込まない! 介護保険を利用するには?

厚生労働省の調査報告書によると、働いている人で介護に不安を感じる人は8割もいます。

具体的に、現在「手助・介護が必要な親がいない」人では、「介護サービスや施設の利用方法がわからないこと」が33.3%と、いちばん高い割合を占めています。

一方で、介護を担っている人で離職をした人が「手助・介護について知っておいた方が良かったこと」として回答しているのは「介護保険制度の仕組み、申請・利用方法」47.4%、そのあとに介護サービスに関する回答が続きます。

もし親の介護が必要な状態になったとき、現役世代では、介護保険の仕組みや介護サービスの利用の仕方がわからなくて不安という声があります。介護が発生したときの相談窓口や制度を簡単にご紹介します。

介護費用の負担は増える? 社会保障制度改革の動向

介護で不安なことのひとつは経済的な負担です。介護保険による介護サービスの場合、要介護度によって1か月あたりの利用限度額が設けられています。

たとえば居宅サービスでは、もっとも軽い要支援1からもっとも重い要介護度5まで、月50,030~360,650円となっています。利用者の自己負担額はこの1割(一定以上の所得がある人は2割)です。

施設サービスでは、施設サービス費の1割(一定以上の所得がある人は2割)のほか、居住費、食費、日常生活費がかかります。
国の目安では、要介護度5の人が特別養護老人ホームの多床室に入居した場合の1か月の自己負担額は約101,700円、ユニット型個室を利用すると約139,000円です。

ただし低所得者には、介護保険料の軽減や介護保険施設に入居した時の費用の一定額を支給したり、世帯の1か月あたりの自己負担額を軽減する制度などが設けられています。

しかし高齢化で社会保障費の支出が増加しており、平成26年介護保険法改正で、低所得の人の負担を軽減する一方で、一定以上の所得のある利用者の自己負担額を1割から2割に引き上げています。また国は介護保険制度の持続可能性を確保するため、負担と給付のあり方をさらに見直しているところです。

参照:
介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」
平成28年介護保険法改正の概要
第55回社会保障審議会介護保険部会資料

貯蓄か、保険か―介護の費用負担に備えるには?

介護を担っている40代、50代は、自分自身の老後資金を準備しなければならない年代です。親の介護費用を負担したり、介護離職をすれば、老後の計画が狂いかねません。親が健在なうちに、介護費用などお金の相談をしておきましょう。

また介護費用を含め老後資金の準備は、現役で働いているうちしかできません。

手段として、定期預金、財形貯蓄、個人年金保険、確定拠出年金といった貯蓄のほか、民間の医療保険や介護保険などがあります。

貯蓄は生活費や医療費、介護費用のいずれにも使うことができます。保険は一定の要件に該当したら保険金が支払われるもので、保険料を支払う必要があります。

民間の保険会社や共済が扱っている介護保険は、保険期間が終身と定期のもの、要介護状態になると一時金が払われるもの、公的介護保険の要介護度に連動して給付があるもの、各保険会社の基準で給付されるもの、とさまざまです。

介護保険を選ぶ際にとくに気を付けたいのは、どのような介護状態で保険金が支払われるかという点です。支払いの基準が比較的軽い要介護度か、認知症や寝たきり状態など重い介護度か、商品によって異なります。

老後の生活設計と資金計画を見直しながら、貯蓄とのバランスを考え上手に保険を利用しましょう。

介護と仕事を両立するための制度改正 総まとめ

高齢化が進み、介護保険で要介護と認定される人も増えています。介護を担う40~50代は、勤務先でも管理職など責任のあるポジションにいることも多い世代であり、企業にとっても介護離職はマイナスです。

仕事と介護を両立するための制度も少しずつ整えられてきました。介護が発生しても一人で悩まず、職場や地域包括支援センターなどに相談しながら、乗り切る方法を考えましょう。

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