働けなくなったらどうする?収入をサポートする保険を徹底ガイド

【監修: R&C株式会社 ファイナンシャルプランナー 菱村真比古】

病気やケガの長期入院で働けず、収入ダウン。
医療保険で入院費はまかなえても、家のローンや子どもの教育費、
日々の生活費まではカバーし切れるものではありません。

所得補償保険はそんな事態に備え、生活を支える保険です。
その仕組み、医療保険との違い、病気やケガの際の社会保障制度なども併せて、
じっくりと説明します。

【目次】
◆ 病気やケガで働けなくなったら、そのときアナタは?
◆ 医療保険が保障するのは入院時だけ
◆ 実は公的保険にもさまざまな保障が
◆ 所得補償保険に入る価値はあるのだろうか
◆ 加入のときは、保障内容をしっかりチェック

 

病気やケガで働けなくなったら、そのときアナタは?

平成28年発表の総務省統計局「家計調査」によれば、
2015年の勤労者世帯(2人以上の世帯)の1カ月の生活費は平均315,379円、
そのうち住宅ローン返済を抱える世帯の返済額は月平均98,696円。
つまり生活費とローンで軽く40万円を超える金額が月々必要となります。

一家の大黒柱が、もし病気やケガの長期治療で働けなくなったとしたら…。
それでも生活費や子どもの教育費、家のローンなどの必要費用は毎月かかり、
収入が減った状況では大きな負担となるのは明らかです。

そうした万一に備えられるのが、「所得補償保険」です。
「就業不能保険」「給与サポート保険」という名の場合もあります。
所得補償保険は、病気やケガなどで長期間の入院や通院、
在宅療養が必要となって働けなくなったときに、
あらかじめ決めた保障額が一定期間支給され続ける保険です。

所得補償保険の主な特徴は次のとおりです。

給付金が設定できる

保険会社により違いがあり、月額を設定できるものや、
現在の収入を基準にその○%と設定できるものがあります。
毎月の保障額はだいたい10~50万円の間で受け取ることができ、
年収の60%程度が補償されます。

一定の保険期間がある

【65歳まで・最低支払保険期間2年】といったように、一定の保険期間があります。
この間、就業不能状態となったら、保険期間が満了するまで月々給付金が支払われます。
通常、年齢は60歳や65歳まで、最低支払保険期間は1~5年という設定のことが多いようです。

免責期間がある

60日や180日などの「免責期間」が設けられていて、
働けない期間がこの日数を超えて長引かないと支払われません。

給付条件は規定がある

「働けない状態」の条件については規定があり、保険会社ごとに内容はまちまちです。

掛け捨ての保険

基本的に掛け捨ての定期保険で、長期間加入するためには更新し続ける必要があり、
更新のたびに保険料が上がります。
途中解約での返戻金はありません。

あらゆるシーンに対応

病気やケガの原因が、仕事中でも日常生活や旅行中でも保険の対象となります。

 

ちなみに、名前がよく似た「収入保障保険」という保険があります。
これは所得補償保険とはまったくの別物

所得補償保険は生きているうちにもらえますが、
死亡すると給付金の支払いがストップします。
収入保障保険は亡くなった後に遺族の生活資金を保障するもので生命保険の一種です。
亡くなるともらえますが、働けない状態には対応しません。

どちらも収入減のリスクに備える保険ですが、まったく目的が違うので、お間違えなく。

 

医療保険が保障するのは入院時だけ

「病気やケガになったときの保険なら、医療保険でもよいのでは?」と思いがち。
でも、そうとはいえないのです。

医療保険は、原則として入院した場合に保険金が支払われる仕組みになっています。
つまり、入院しなければ給付金はゼロです。
(入院以外の治療を保障する特約を付加した場合を除きます)

一方、所得補償保険は、病気やケガで働けない状態が続けば給付金が出ます。
入院する・しないは関係ありません。

また、医療保険の入院保険金は支払期間に比較的短期の限度日数が設定されていますが、
所得補償保険は長期間支払われます。

長期の治療・入院となれば、収入減は必至です。
医療保険は入院時の補償には強いのですが、
長引く通院治療や在宅療養には対応し切れません。
ましてや病気による収入減は補償しません。
医療保険でまかなえない生活費などのカバーに役立つのが、所得保障保険というわけです。

ただ、多くの所得補償保険では次のような規定があり、
「働けない状態」ならどんな場合も補償が受けられるというわけではありません。

● 病気やケガの治療を目的として、日本国内の病院または診療所において入院している状態
● 病気やケガにより、医師の指示を受けて、自宅等で、
軽い家事および必要最小限の外出を除き、治療に専念している状態

「医師の指示のもと」と書かれているように、在宅療養でも医師の診断が必要です。
軽度の障害や、うつ病、統合失調症、社会不安障害などの精神障害、
むちうちや腰痛など画像診断などで裏付けができないものは
補償対象外になっていることが多いのです。

 

実は公的保険にもさまざまな保障が

所得補償保険に加入する前に確認しておきたいのが、
自分が働けなくなったときにどんな保障が受けられるのかということ。
意外にさまざまな公的保障が利用できます。

高額療養費制度

月単位で医療費が一定の金額を超えた場合、超過分が還付されます。

傷病手当金 

健康保険に加入している会社員のための休業補償制度で、
病気やケガで4日以上欠勤した場合、
4日目以降、最長1年6カ月、標準報酬日額の3分の2が支給されます。

休業補償給付・休業給付 

労災保険の休業補償制度です。業務上の病気やケガ、
あるいは通勤中のケガで仕事を休んで給料がもらえなかった場合、
休業補償給付または休業給付、併せて休業特別支給金が支払われます。

障害年金 

ケガや病気が治癒せず障害が残り、回復が見込めない場合に受け取れる可能性があります。
厚生年金保険からは障害厚生年金が、国民年金からは障害基礎年金が支給されます。

 

公的保障はありがたいものですが、実は難点もあります。
傷病手当金は就業時と同額の収入が補償されるわけではありません。
障害年金は審査に該当しないと対象になりません。

また、高額療養費制度によって医療費に上限があっても、
治療が長期になれば支払いはかさみます。
つまり、公的保障があるから万全とは言い切れないのです。

 

所得補償保険に入る価値はあるのだろうか

生活費の担保が十分に確保できる方は所得補償保険に入る必要性は低いと言えます。

では実際、どんな人にとってメリットが大きいのでしょうか。

最も必要性が高いのは個人事業主やフリーランスの方です。
会社員と違い、個人事業主の方は傷病手当金などがなく、公的保障の恩恵が乏しいからです。
病気やケガで働けなくなると、一気に無収入になる恐れがあります。

また、働けないことで事業が不振に陥るといったリスクも想定されますので、
ぜひ加入を考えてみるべきでしょう。

福利厚生がしっかり整った会社勤務の場合、会社から手厚い補償が
受けられることがありますが、会社からの補償がなく、貯蓄も十分にない会社員の方は、
加入するメリットがあると思われます。
さらに、長期の就業不能で貯蓄を切り崩したくない方にもおすすめです。

加入のときは、保障内容をしっかりチェック

補償内容は保険会社によってばらつきがあり、
特に「免責期間」「保険期間」「給付条件」に違いがあるので、
加入の際には注意が必要です。

*免責期間

「免責期間なし」もあれば「180日」もあります。
免責期間中は保障が受けられないので、短期のほうが望ましいですが、
短期のものは給付条件が厳しいこともあります。

*保険期間 

保険期間が1~2年と短いものが多いのですが、
「長期間働けない状態」のリカバリーこそが所得補償保険のメリットなのですから、
できるだけ長期保障の商品を選びたいもの。

*給付条件 

保険会社が規定する「働けない状態」がどういったものなのか、必ず確認を。
注目すべきは「精神疾患」の扱い。

長期間の入院・自宅療養の原因として、うつ病などの精神疾患が近年増加中です。
多くの商品が精神疾患は対象外ですが、
特約であっても「精神疾患」も対象の商品が安心です。

保険期間の限度や、対象外の病気などがあるため、
所得補償保険は決して万能とはいえません。

でも、加入していない場合は、貯蓄を切り崩しながらしのぐことになります。
長期にわたって働けなくなったときに所得補償保険の必要性は高く、
検討の余地は大いにありといえるでしょう。

 

監修者プロフィール

R&C 菱村真比古

R&C株式会社 菱村 真比古(ひしむら まさひこ)
中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャル・プランナー。結婚や住宅購入のほか、社会保険制度が複雑に絡むライフプランをシンプルに紐解きます。柔軟かつ合理的な相談対応力で活躍中の「女性の人生を豊かにクリエイトするお金と保険のエキスパート」です。

得意分野 : ライフプランニング、住宅ローンアドバイス、相続の準備と対策
保有資格 : トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、DofD認定プロデューサー(T-PEC社認定)、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、公的保険アドバイザー®

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

LAIFの人気記事をお届けします。

Writerこの記事を書いたライター

LAIFadmin

あわせて読みたいこちらもあなたにおすすめです

働けなくなったらどうする?収入をサポートする保険を徹底ガイド ページTOPへ戻る