扶養を外れたのに、勤務先で健康保険や厚生年金に加入できないのはなぜ?

子どもの手が離れると、勤務時間を増やしてフルタイムに近い働き方をする女性も出てきます。夫の扶養を外れるので勤務先に相談したら、「うちでは健康保険も厚生年金も入れない」。このようなケースが実際にあります。

また現在、夫の扶養に入っている在宅ワークや個人で事業をしている人も、収入が増えると扶養から外れることになります。

ここでは扶養にも該当せず、勤務先の社会保険にも入れないケースについてみていきましょう。

勤務先の社会保険に入れないってどういうこと? そのとき加入する制度は?

パートでも正社員とほぼ同じペースで働く場合、勤務先の社会保険に加入することになります。ところが勤務先の健康保険・厚生年金に加入できない場合があります。

勤務先が株式会社などの法人または一定要件を満たした個人事業所であれば、健康保険と厚生年金制度は強制的に適用されます。もし、株式会社なのに正社員も加入していないのであれば、違法ということになります。

しかし適用外の個人事業所に勤務しているなら、フルタイムも、夫の扶養を外れたパートも、国民健康保険・国民年金の第一号被保険者という、いわゆる自営業と同じ制度になります。

勤務先の健康保険・厚生年金に入ることができれば、医療や年金の給付も増えます。一方、国民健康保険では保険料は収入に応じて、また国民年金は毎月16,260円(平成28年度)を払わなければなりません。保険料の支払いが増えても、夫の扶養に入っていたときと給付内容はほとんど変わりません。

フリーランスが扶養から外れたときはどうなるの?

在宅ワークやフリーで働く個人事業主でも収入によっては、夫の扶養に入っていることもあります。

給与を受け取っている場合、被扶養者の認定基準は年収130万円未満です。事業収入のある人は、たとえばおもに中小企業の従業員が加入している協会けんぽの場合、収入から最低限の経費を差し引いた金額が130万円未満かどうかが年収基準となっています。

健康保険組合によって判断が異なることがあるので、問い合わせて確認しましょう。そして収入が増えて扶養から外れたら、加入する社会保険は国民健康保険・国民年金の組み合わせになります。

また個人事業主の場合、雇われて働く人と大きく違うのは、労災保険・雇用保険がないことです。つまり仕事中に事故にあったり仕事を失ったりしても社会保険からの給付がありません。

労災保険

業務上や通勤途上のケガ・病気で給付。治療費は全額給付されます。
アルバイトやパートも対象。保険料は全額事業主が負担します。

雇用保険

失業したときや育児休業、介護休業を取得したときの給付があります。
一定の要件を満たした人が加入でき、保険料は従業員も負担します。

国民年金の第一号被保険者なったときに考える老後の備え

将来受け取る公的年金は、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金の二階建てです。夫の扶養で第三号被保険者の期間は、国民年金の保険料を払ったものとして扱われ、それに応じて老齢基礎年金が受け取れます。

ところが第一号被保険者になると、保険料を納めなければ年金額に反映されません。自分で保険料を納めている人からみると、ちょっと不公平な気がしますが、これがいわゆる年金の「三号問題」です。

一方で、自助努力で年金額を増やしたい第一号被保険者のために、公的制度が用意されています。いずれも税制上の優遇があり、加入は任意です。

付加年金*1

月400円の付加保険料を納めると、200円×付加保険料納付月数が年金年額に上乗せされます。国民年金基金と併用はできません。

国民年金基金*2

厚生年金に相当する制度として創設。終身年金に確定年金を組み合わせることができます。月額掛金の上限は68,000円。

確定拠出年金(個人型)*3

掛金の運用を自分で決める制度。第一号被保険者のほか、会社で企業年金に加入していない厚生年金の被保険者などが加入できます。掛金月額は、国民年金基金と合計で68,000円までです。

小規模企業共済*4

小規模企業の経営者や役員、個人事業主の退職金制度です。掛金は月額1,000~70,000円。契約者貸付制度が利用できます。
このほかに、加入している制度にかかわらず契約できる民間の個人年金保険などがあります。契約形態によっては、保険料が生命保険料控除(個人年金保険料控除)として所得から控除できます。

健康保険・厚生年金に加入できない人の民間保険活用法

健康保険・厚生年金に比べ、病気やケガで仕事ができなかったときの所得補償や、万が一のときの遺族保障が少ないのが国民健康保険・国民年金です。

ある程度収入が増えて扶養から外れ、国民健康保険・国民年金に加入することになったときは、自助努力として、民間の保険を利用することを検討してみましょう。

病気やケガによる休業の備えであれば、所得補償保険や医療保険があります。

医療保険は、入院や手術、入院後の通院に対して所定の給付金を請求できます。医療費だけでなく、所得補償という意味合いで入院日額を見直してみましょう。

また所得補償保険は入院中だけでなく、医師の指示で自宅療養中も対象になります。

万が一に備えるのは定期保険や終身保険です。
自分の収入がなくなったとき、家計にどれだけ影響するかを考えて、保険金額を決めましょう。

個人事業主の場合はさらに仕事中の事故に備えて、傷害保険も検討してみましょう。また仕事が減ったときにために、貯蓄をしておくことも大切です。

勤務日数や勤務時間など同じ働き方をしていても、勤務先に健康保険・厚生年金の制度があるとないのとでは、保障内容が大きく違います。

個人事業主はさらに自分自身でリスク対策を講じなければなりません。職場や働き方を選ぶ際に、お給料や人間関係も大切ですが、それに加えて、老後の生活にも影響を与える社会保険もしっかりチェックしましょう。

参考:
*1 日本年金機構
*2 国民年金基金連合会
*3 国民年金基金連合会
*4 独立行政法人中小企業基盤整備機構

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