パートタイマーも、社会保険に加入したほうが得 ?

2016 年 10 月から社会保険の加入要件が拡大されるため、とくに配偶者の扶養の範囲で働いているパートタイマーなどにとって、社会保険に加入すると何が変わるのか、働く時間を増やした方がいいのか、大変気になるところです。

そもそもパートタイマーやアルバイト、派遣など非正規で働いている人は、なぜその働き方をしているのでしょうか ? 総務省の「労働力調査」で、次のような結果が公表されました。

現職の雇用形態についた主な理由別非正規の職員・従業員の内訳

正規雇用を希望する人が多い男性に比べ、女性の場合は、時間や家計の補助、家庭との両立という理由による人が多いといえます。

そのため、簡単に労働時間を延ばすことができなかったり、手取り額を優先し社会保険に加入した場合の保険料負担が気になったりする人が多いのではないでしょうか。

社会保険に加入する・しないの違いを、リスクマネジメントの視点で見ていきましょう。

「社会保険」に加入する場合としない場合、給付はどう違う ?

社会保険では、本人、すなわち被保険者に対する給付と被扶養者である家族に対する給付とがあります。病院で治療を受けたときの給付は、本人も家族も同じですが、大きく違うのは、本人に対する傷病手当金と出産手当金の給付です。

傷病手当金は、業務外の病気やケガで仕事に就くことができない場合、支給開始日から最長 1 年 6 か月、休業 4 日めから 1 日につき標準報酬日額の 3 分の 2 が支給されるというものです。給与が支給されている場合はその差額が給付されます。

出産手当金は、出産で仕事を休んで給与が支払われなかったときに、標準報酬日額の 3 分の 2 が支給されます。出産の日以前 42 日から出産の翌日以後 56 日目までの間で実際に休んだ日が対象です。

出産の場合、出産するのが被保険者でもその被扶養者でも、出産育児一時金は同じように受け取れます。しかし出産手当金は被保険者である本人が出産したときにしか受け取れません。

仕事中や通勤途上の事故によるケガなどで休んだときは、労働者災害補償保険(労災保険)が補償し、1 日だけのアルバイト従業員も対象になります。

一方、社会保険は業務外の病気・ケガによる休業を補償しますが、本人のみが対象です。

被扶養者である家族としてではなく、自分自身が被保険者として社会保険に加入すると、業務上も業務外も、病気やケガ、出産による休業補償が得られることになります。

「厚生年金」は障害を負ったときの給付が厚い

公的年金制度では、厚生年金も国民年金も、高齢になったときの老齢年金、障害状態になったときの障害年金、亡くなったときに扶養していた家族に給付される遺族年金の 3 つがあります。

配偶者の社会保険で被扶養者となっている人は、年金制度では、国民年金の第三号被保険者となります。この第三号被保険者は、保険料の負担はなく、65 歳以降、国民年金から老齢基礎年金が支給されます。

老齢基礎年金の受給額は、780,100 円(平成 27 年度満額)です。もし厚生年金の被保険者としての加入期間が 1 か月以上あれば、厚生老齢年金も受け取れます。

障害年金では、国民年金の場合、日常生活が著しく制限されるような障害で、1 級または 2 級の障害に認定された場合に障害基礎年金が支給されます。

厚生障害年金の場合には、1 級、2 級のほか、働く際に制限が加わるような 3 級という障害年金の認定基準が設けられています。また 3 級よりさらに軽い障害が残った場合に、障害手当金という一時金が給付されるしくみもあります。

厚生年金は国民年金と比べ、働いている人に対して給付が手厚いといえます。

公的保険を踏まえて、医療や老後の備えを考える

公的医療保険はもともと労働者の保護を目的としてスタートし、労働者とその家族、農業従事者や自営業者、そして国民皆保険へと整えられてきた制度です。

公的年金制度も、戦前に労働者年金保険制度ができ、厚生年金に改められ、一方で自営業者などの加入する国民年金も整えられて、全国民が年金制度に加入するようになりました。

このような成立事情から、社会保険では、労働者の休業補償にあたる給付などが設けられています。

一方で、病気やケガの医療費や休業した場合の所得補償、障害や高齢期の経済的保障を考えるとき、まず公的保険の内容を踏まえ、自助努力として民間の生命保険や損害保険について、どんな保険にどのくらい加入したらよいかを検討することが基本となります。

ですから、今まで配偶者の被扶養者、第三号被保険者として国民健康保険や国民年金に加入していた場合、新たに社会保険の被保険者となれば、上記のように給付内容が変わることを前提に、民間の生命保険や損害保険を見直してみる必要があるといえます。

社会保険に加入しないリスクを考える

社会保険の休業補償や厚生障害年金は、そのような事態が起きなければ受け取ることはありません。また、厚生老齢年金は先のことで、金額も確定していません。そのうえ保険料の負担も発生するので、はっきりメリットがある、と感じることは難しいかもしれません。ただ生活設計上、このようなリスクへの対策は不可欠です。

もし社会保険に加入すれば、公的保険が一定の範囲をカバーしてくれます。加入しなければ、働き方を変えるか、民間の保険を利用するか、家計のリスクマネジメントとして検討してみなければなりません。

たとえば家計の収入源を複数にする、それぞれの収入を安定させる、ということはリスクマネジメントとして有効です。

社会保険の加入要件に該当しないような働き方は、勤務時間が短く、収入もそれに応じたものしか受け取れません。またスキルアップの機会も少ないのではないでしょうか。もし可能であれば、リスク対策として、勤務時間を増やしたり、正社員に転換したりすることなどが挙げられます。

民間の保険を検討するのであれば、生計を担っている配偶者について、生命保険金額を増やす、医療保険の入院給付金日額を増やす、所得補償保険に加入する、といった保険を活用する方法も考える必要があります。ただしこれは保険料というコストを伴います。

現在、国では非正規雇用者を正規雇用に転換することを、助成金などで後押しをしています。また政府では、税制での配偶者控除や国民年金の第三号被保険者の取り扱いなどがたびたび議論の的になってきました。

社会情勢の変化や、自分自身の年齢、体力、家庭事情などをすり合わせながら働き方を考え、一方で、自助努力として保険を活用したリスク対策も家族で話し合い、将来に備えましょう。

参考:

*「労働力調査」総務省

*協会けんぽ

*日本年金機構

*厚生労働白書

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