年末調整や確定申告で「生命保険料控除」を活用した節税って?

生命保険をはじめ、介護医療保険や個人年金保険などに加入している方は多いと思います。保険料を支払った場合、一定の条件を満たせば、会社員の方であれば「年末調整時」、自営業をされている方であれば「確定申告時」に所得控除を受けることができます。その結果、税金が戻り、節税にもつながります。

具体的にどのような方法で生命保険料控除を受けられるのかについて、ご紹介します。

【目次】
「生命保険に入ると税金が安くなる」ってどういうこと?
生命保険料控除の対象になる保険とは?
実際のところ、税金はいくら戻ってくるの?
生命保険料控除を受けるための手続きと注意点

「生命保険に入ると税金が安くなる」ってどういうこと?

終身保険や定期保険をはじめ、介護医療保険や個人年金保険といった各種生命保険に加入していれば当然、毎月あるいは年払いで保険料を支払っています。
実は、こうした保険料は「所得控除」の対象となっています。

そもそも「所得控除」とはどのようなものでしょうか?

一般的な会社員の方であれば年末調整時、個人事業主の方などは確定申告時に、その年の年間所得額と、所得額に対する課税額(所得税・住民税)も確定します。
課税額の計算上、個人の事情を鑑み、、所得から一定額を差し引くのが所得控除です。

所得控除には例えば・・・

●所得のある人すべての所得額から、一律38万円を差し引く「基礎控除」

●配偶者の合計所得額が38万円以下(給与のみの場合は年収が103万円以下)の場合、納税者本人の所得額から38万円を差し引く「配偶者控除」

●年間医療費(最高200万円)から10万円を差し引いた残りの額を、所得額から控除できる「医療費控除」

など、さまざまな所得控除が設定されています。

「生命保険料控除」は所得控除の一つです。
1年間で払い込んだ生命保険料に応じて一定の金額が保険契約者、すなわち保険料負担者の年間所得から差し引かれる制度です。

生命保険料控除によって差し引かれた結果、低くなった所得額に対して税率がかけられるため、所得税や住民税も安くなり、納税者の負担が軽減されるわけです。

生命保険料控除の対象になる保険とは?

それでは具体的にどのような生命保険が、保険料控除の対象になるのでしょうか?

実は保険契約年 が「平成23年12月31日以前」か「平成24年1月1日以後」かによって制度内容が変わっています。

【平成23年以前 : 旧制度】
◆ 平成23年12月31日以前に締結した契約が対象
◆ 控除の種類は「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2つ

【平成24年以降 : 新制度】
◆ 平成24年1月1日以降に締結した契約が対象
◆ 控除の種類は「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」に加えて新たに「介護医療保険料控除」が追加

まず新制度について「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」それぞれの対象となる契約を確認しましょう。

「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」

【対象になる条件】 ※新・旧両制度共通
保険金受取人が契約者かあるいは配偶者、その他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)である保険の保険料。

【対象にならない保険】
●財形保険
●保険期間が5年未満の貯蓄保険
●団体信用生命保険など

【注意するポイント】
●旧制度では、災害入院特約・疾病入院特約など特約保険料は一般生命保険料控除の対象です。
●新制度では、災害入院特約・疾病入院特約など特約は、保障内容ごとに「一般生命保険料控除」または「介護医療保険料控除」に分けられます。なお傷害特約や災害割増特約は対象外です。

「個人年金保険料控除」

【対象になる条件】 ※新・旧両制度共通
次のすべての条件を満たした上で「個人年金保険料税制適格特約」を付けた契約の保険料。

●年金受取人が契約者、またはその配偶者のいずれかであること
●年金受取人は被保険者と同一人であること
●保険料払込期間が10年以上であること(一時払は対象外)
●年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上の確定年金や有期年金、または終身年金であること

【注意するポイント】
●個人年金保険で「個人年金保険料税制適格特約」を付加していないもの、変額個人年金保険は『一般生命保険料控除』の対象になります。

実際のところ、税金はいくら戻ってくるの?

適用対象となる「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」それぞれについて申請した場合、実際にどれだけの税金が戻ってくるのでしょうか?

こちらは大きく「新制度」と「旧制度」で税率や金額が異なってきますので、2つに分けた上で、さらに「所得税」「住民税」双方の控除額をチェックしましょう。

※「控除額」は所得から差し引かれる金額であるため、実際にその額が戻ってくるわけではありません。

【新制度】一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料控除額

 所得税
●年間の支払保険料等が2万円以下の場合…支払保険料等の全額
●年間の支払保険料等が2万円超4万円以下の場合…支払保険料等×1/2+1万円
●年間の支払保険料等が4万円超8万円以下の場合…支払保険料等×1/4+2万円
●年間の支払保険料等が8万円超の場合…一律4万円

 住民税
●年間の支払保険料等が1万2千円以下の場合…支払保険料等の全額
●年間の支払保険料等が1万2千円超3万2千円以下の場合…支払保険料等×1/2+6千円
●年間の支払保険料等が3万2千円超5万6千円以下の場合…支払保険料等×1/4+1万4千円
●年間の支払保険料等が5万6千円超の場合…一律2万8千円

【旧制度】一般生命保険料・個人年金保険料控除額

 所得税
●年間の支払保険料等が2万5千円以下の場合…支払保険料等の全額
●年間の支払保険料等が2万5千円超5万円以下の場合…支払保険料等×1/2+1万2500円
●年間の支払保険料等が5万円超10万円以下の場合…支払保険料等×1/4+2万5千円
●年間の支払保険料等が10万円超の場合…一律5万円

 住民税
●年間の支払保険料等が1万5千円以下の場合…支払保険料等の全額
●年間の支払保険料等が1万5千円超4万円以下の場合…支払保険料等×1/2+7500円
●年間の支払保険料等が4万円超7万円以下の場合…支払保険料等×1/4+1万7500円
●年間の支払保険料等が7万円超の場合…一律3万5千円

このような条件で控除額が算出されます。
ただし生命保険料控除には「限度額」が設定されているため、注意が必要です。

【新制度】一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料控除の限度額

●3種類受けた場合…所得税12万円・住民税7万円
●2種類受けた場合…所得税8万円・住民税5.6万円
●1種類受けた場合…所得税4万円・住民税2.8万円

【旧制度】一般生命保険料・個人年金保険料控除の限度額

●2種類受けた場合…所得税10万円・住民税7万円
●1種類受けた場合…所得税5万円・住民税3.5万円

「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」で、新制度と旧制度の契約がある場合の限度額

それぞれ新旧合わせて、所得税は4万円、住民税は2万8000円が控除限度額となります。

そして大事なのは、ここからです。

上記の条件で算出された控除額に、所得額に応じた「所得税率」を掛けることによって、はじめて税金がいくら戻ってくるのかがわかります。

ちなみに所得税率は以下の通りです。

【所得税率】
●所得金額195万円以下…5%
●所得金額195万円超~330万円以下…10%
●所得金額330万円超~695万円以下…20%
●所得金額695万円超~900万円以下…23%
●所得金額900万円超~1,800万円以下…33%
●所得金額1,800万円超~4,000万円以下…40%
●所得金額4,000万円超 …45%

※ほかに平成49年まで復興特別所得税がかかります。

以上の点を踏まえた上で、参考例をご紹介します。

【年間で支払う一般生命保険が7万円 介護医療保険が5万円 個人年金保険が6万円※すべて新制度での加入】

●一般生命保険料控除額:7万円×1/4+2万円=37,500円
●介護保険料控除額:5万円×1/4+2万円=32,500円
●個人年金保険料控除額:6万円×1/4+2万円=35,000円

合計控除額=105,000円

会社員の場合、年収から給与所得控除やそのほかの所得控除を行った後の金額が、課税される所得金額となります。
実際に還付される金額は、所得金額と税率によって異なります。所得金額が210万円の場合は以下のようになります。

生命保険料控除分にかかるはずだった税金が戻ってくるので、

合計控除額105,000円×10%=10,500円

この金額が還付、つまり実際に税金(所得税)が戻ってきます。
このほか、住民税も同様に算出することで還付額が判明します。

生命保険料控除を受けるための手続きと注意点

生命保険料控除を受けるために、どのような手続きが必要なのでしょうか?
会社員による年末調整と自営業者による確定申告、それぞれについてご説明します。

会社員の場合

生命保険会社の発行する「生命保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除等申告書」に添付した上で、勤務先に提出して年末調整で控除を受けてください。

【注意するポイント】
●給与天引きなどによって保険料を払い込んでいる場合は、通常、会社宛に一括して送付しているので「生命保険料控除証明書」の添付は不要になります
●給与の年間収入額が2,000万円を超える場合、年末調整ではなく「確定申告」で申請することになります

自営業者の場合

翌年2月16日から3月15日までの所得税の確定申告期間中に、「生命保険料控除証明書」を確定申告に添付して控除を受けてください。

【会社員・自営業者共通の注意するポイント】
●「保険金の一時払い」は支払った年のみ控除の対象
●「保険金の前納一括払い」の場合、毎年、その年の保険料分について控除が受けられます
●損害保険で地震保険の契約がある場合は、地震保険料控除が受けられます

保険料の支払いに関しては普段あまり気にすることは少ないかもしれませんが、年間の支払額を改めてチェックすると、意外と大きな金額であることを実感するはずです。
だからこそ、今回ご紹介した生命保険料控除を活用することで、賢い節税を心掛けていきましょう。

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Writerこの記事を書いたライター

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