銀行の融資額に潜む甘いワナ「ローン地獄に陥らないために」そっと耳打ち、誰も教えてくれない住宅ローンの裏話(その1)

今回の相談者: 中原洋介・恵 夫妻
33歳、年収500万、中小企業に勤務しているサラリーマンの中原洋介さん
奥様は32歳主婦(妊娠5ヶ月)の恵さん、そしてもうすぐ3歳になる息子の正太郎くん

アドバイザー: 菱村真比古

2人目の子供ができたことをきっかけに、奥様の提案でマイホーム購入を考え始めた中原夫妻。チラシで広さや部屋数を見ていると、将来に向けて夢も膨らみます。今見ているのは、4000万円の見取り図。

楽しそうに話をする奥様を前に、家を購入するタイミングは今かもしれないと思いつつも、今の給料に対して4000万のローンは返せる額なのか、貯めてある頭金で足りるのか…そんなことが頭を巡ります。

そこで中原さんは翌日、上司にこのことを相談してみました。上司は話を聞くと、「住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーに聞いてみるといいよ」と、菱村さんの連絡先を教えてくれました。

中原さんは早速、土曜の午後に菱村さんにアポを取り、オフィスへ向かいます。

「詳しい人に相談できるのは良いが、何をどう聞いたらいいものか…」

さて、どんな話が聞けるのでしょうか? 中原さんの不安は払しょくされるのでしょうか?

家を購入したいが、どんな準備が必要かわからない、何を知っておけばよいのかわからない…そんな中原さんの希望と不安についてじっくりと耳を傾けていた菱村さんは、一通り話を聞き終えた後に話し始めました。

菱村 「皆さん、家を買う前は同じようなポイントでお悩みになります。それでは家を買う前に知っておきたい注意点について、ポイントを絞ってお話していきましょう。住宅購入を考えると、いろいろな疑問が出てきますよね。例えば、頭金のこと、住宅ローン専用の保険(団体信用生命保険)のこと、賃貸とどちらが良いのか、そして税金、控除のことなど。

他にもたくさんあります。中原さんは家を買うときに、住宅の販売業者さんや銀行さんとやり取りをすることになりますが、実は家選びをする上で、その両社ともなかなか教えてくれない超重要なポイントがあります。まずはそこを知っておいてください。」

中原 「分かりました」

人生で最も大きな買い物、「マイホーム」。必要なお金はいくらまで借りられるの?

銀行や信用金庫では住宅ローンの融資をする際に、「その方の年収のうち、何%をローンの返済に充てるか」を基準に考えていきます。これを一般に「返済比率」と呼びますが、年収に応じて、25~35%以内としている金融機関が多いようです。

フラット35※の場合、年収400万円未満で30%、400万円以上で35%が上限となっています。したがって、年収500万円の中原さんの場合は

500万円 × 35% = 175万円

となります。
175万円(月割で計算すると145,833円)までが年間の最大返済額と考えますので、
フラットの35年でローンを組む場合、金利を含めた返済総額の最大額は

175万円 × 35年 = 6,125万円 

となるよう、所定の計算式で割りだされます。

ただし、6,125万円を借りられるわけではないのでご注意を。
金利が1.0%なのか、2.0%なのかで借入金に対する返済総額は変わってきますから、最終的にいくら借りられるかは、年収だけでなく金利の影響を大きく受けることになります。

※フラット35:住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している長期固定金利住宅ローンのこと。

では話を戻しましょう。2016年6月現在の金利(フラット35)を目安に、1.5%の固定金利と仮定して融資可能金額を割り出してみましょう。
(特殊な計算が必要になりますので細かくは割愛しますが)

結論、「最大で4,762万円まで借りることができる」という結果になります。

どういうことかというと、4,762万円の借り入れで、固定金利1.5%(元利均等、ボーナス払いなし)で35年返済したときの返済総額は約6123万円となり、返済可能であると借入機関(銀行や信用金庫など)から判断されるわけなのです。

参考までに、上記設定での最大融資金額を金利別に出してみると以下のとおり。

◆固定金利1.0% ・・・ 5,166万円
◆固定金利2.0% ・・・ 4,402万円
◆固定金利3.0% ・・・ 3,789万円

(こうやって見てみると、超低金利の昨今、家を買うには決して悪いタイミングではなさそうですね)

そういうわけで中原さんは4762万円までの住宅ローンなら組めることになりそうです。

菱村さんのアドバイスを受け、借りられる金額の目安がわかったものの、35年ローンで4,762万円ものローンを本当に払いきれるのか…慎重な中原さんはどこか不安が残る様子。

すると菱村さんが「分かっていますよ」とばかりに今後の人生で起こりうる、経済面におけるプラスとマイナスの要素について話を始めました。

貸付最大額を借りる危険を回避!人生で起こり得る事件からリスクを考えて試算する

もうお気づきかもしれませんが、銀行が貸してくれるお金は「今の生活レベルが35年続けば返せる金額」を算出しています。お子さまが生まれ、まさに人生これからという中原さん。経済面において本当に今の生活レベルが35年続くのでしょうか

これからの中原さんの生活に一体どのような変化が起こり得るのか、経済的なプラス/マイナス要素に分けて考えてみましょう。

プラス要素

出世・転職による昇給(必ずというわけではない)
奥様が働き始めれば一家全体の収入が上がる

マイナス要素

自身の闘病や転職、会社の倒産等による減収の可能性
家族の病気、両親の介護等で予期せぬ出費が発生する可能性
長男の正太郎くんの教育費(※1)
これから生まれる第二子の教育費(※1)
固定資産税
団体信用生命保険の掛け金(※2)
(マンションの場合)管理費・修繕費等(※3)
インフレによる金利上昇(※4)
退職後のローン返済資金

※1 学費、教育費の平均は全て公立を選ぶことを想定したときの目安は1000万~/1人あたり
全て私立を選ぶことを想定したときの目安は2000万~/1人あたり

※2 フラット35等、任意の場合もある。銀行系のローンは金利に組み込まれているケースが多い
(団体信用生命保険とは、住宅ローンの借主が不慮の事故や病気で死亡したり重度の障害を負った場合、金融機関が残った住宅ローンを払うことを目的とした保険。保険金の受取人は金融機関となっており、住宅ローンを申し込む際は団体信用生命保険への加入が条件になっている場合も多い)

※3 毎月支払い

※4 変動金利を選んだ場合のみ

こうしてみてみると、今の生活レベルを35年続けられる保障はどこにもなく、生活の収支には、良くも悪くも様々な変化が生じる可能性が高いことが分かります。

逆に考えれば、これら9つのマイナス要素(=リスク)を考慮しながら、長い人生の中で生じるかもしれない変化に対処できる範囲の借入金額を自分で試算できれば、住宅ローンだけでなく、事故にあってしまった、病気で入院することになった…といった不慮の出来事によって、急にまとまったお金が必要になった時の備えにもなるのです。

こうして、銀行からの融資可能額=安心して借りられる融資額ではないということが分かった中原さん。では、無理なく借りられる金額というのは、一体どのくらいなのでしょうか?

話は「年収をベースに算出した2,500万では理想のマイホームが買えない?」へと続きます。

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今回お話を伺った菱村さんのプロフィール

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中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャル・プランナー。結婚や住宅購入のほか、社会保険制度が複雑に絡むライフプランをシンプルに紐解きます。柔軟かつ合理的な相談対応力で活躍中の「女性の人生を豊かにクリエイトするお金と保険のエキスパート」です。

得意分野 : ライフプランニング、住宅ローンアドバイス、相続の準備と対策
保有資格 : トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、DofD認定プロデューサー(T-PEC社認定)、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、公的保険アドバイザー®

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