離婚決定後、意外に見落としがちな保険の手続き。チェックしておくべき5つのこと

3組に1組の夫婦が離婚していると言われている今の日本。幸せな毎日を夢見て結婚したけれど、永遠に愛が続くとは限りません。いざ別れるとなると仕事、生活費、養育費など、決めなくてはいけないこともいろいろ。でもちょっと待って。夫婦で契約した保険のことを忘れていませんか?

結婚や出産を期に加入し、そのままになっている保険があれば、離婚と同時に内容を見直すことをおすすめします。これまで生計を共にしていた夫婦が離婚で他人になるのですから、夫婦で契約していた保険も当然ながら見直しが必要になります。

困ったときに必要な保障を受けるためだけでなく、これまで払ってきた保険料を無駄にしないために、保険のプロであるファイナンシャルプランナーの菱村さんが賢い見直し方法を伝授します。

離婚が決定したら保険の見直しを。最初のポイントは「掛け捨て」と「貯蓄型」

Q:「結婚や出産を期に、保険に入るご夫婦は多いと思います。でも離婚をしたら他人。お互いの生計は別になりますよね。そうなると夫婦でかけていた保険はどうすればよいのでしょうか」

離婚が決まっても、夫にかけていた保険の受取人を妻からほかの誰かに変更しなくてはいけないというルールはありません。極端に言えば、離婚後も保険の条件はそのまま継続することもできるのです。とはいえ普通、離婚する相手への保障を維持する人はほとんどいませんよね。こうして考えてみると、離婚時に「保険」についても話し合っておくことも必要ということになります。


Q:
「夫婦で契約する保険には、どんなものがあるのでしょうか?」

代表的なものとしては「医療保険」「収入保障保険」「終身保険」「学資保険」の4つを例に挙げて考えてみましょう。これらは掛け捨てが多い「医療保険」と「収入保障保険」、貯蓄の意味をもつ「終身保険」と「学資保険」に分けられます。離婚による保険の見直しは、掛け捨てと貯蓄型、この2つに分けて考えるとわかりやすいと思います。
(がん保険に加入している方も同様です)

掛け捨ての「医療保険」は、継続したほうがお得

Q:「掛け捨てが多い医療保険とは、具体的にどういうものですか?」

毎月数千円の保険料を支払うことで、病気や入院の保障が受けられる保険です。支払い期間を過ぎれば、その後一生涯、保障が続きます。保険料が安く設定されている代わりに、支払い期間の途中で解約しても解約返戻金(カイヤクヘンレイキン)が戻らないタイプの商品が多いことから、いわゆる掛け捨てと呼ばれています。

Q:「:離婚すると、掛け捨ての医療保険でも見直しが必要ですか?」

もちろんです。保険を見直すときにポイントとなるのが「契約者」「被保険者」「受取人」です。まず医療保険は離婚でどういう見直しが必要になるか、具体例を挙げてみてみましょう。

【医療保険の見直し例】

① 契約者:夫 被保険者:夫 受取人:夫 → 変更する必要なし
② 契約者:夫 被保険者:妻 受取人:妻 → 契約者を夫から妻に変更すればOK

①は夫が自分に保険をかけているケースです。これは変更せずにこのまま継続がよいでしょう。

②は夫が妻の保険を契約しているケース。この場合、契約者名義を夫から妻に変更するのがよいでしょう。医療保険は解約して新しく入り直すと、契約時の年齢で保険料が上がってしまうので、離婚後もそのまま継続することをおすすめします。

Q:「離婚後、妻は自分で自分の保険料を払うのですね」

そうなります。離婚で保険を見直すときは、保険料の引き落とし口座が夫、妻のどちらになっているか、あわせて確認することが必要です。

掛け捨ての「収入保障保険」ポイントは受取人を誰にするか

毎月数千円の保険料を支払うことで、例えば大黒柱の夫が死んだときに、残された家族の生活を守る2000~3000万円といった保障が受けられるものです。こちらも保険料が安い分、解約返戻金のない掛け捨てになっている商品がほとんど。収入保障保険でよくある見直し例はこちらです。

【収入保障保険の見直し例】

契約者:夫 被保険者:夫 受取人:妻
→ 受取人を妻から子どもに変更
→ 受取人を夫の親や兄弟に変更(子どもがいない場合)
→ 再婚相手、再婚相手との間にできた子どもに変更(再婚した場合)
 → 前妻の子と妻の子など、複数人に変更

離婚後も夫が自分の子どもを守りたい場合、子どもを受取人に変更するケースは多いです。ただし子どもが未成年の間は、結局のところその親権をもつ人がお金を管理することになります。ここでポイントなのは、契約者は受取人を何度でも自由に変更できるということです。離婚、再婚などのタイミングで、その都度受取人を見直すことが必要でしょう。

実は受取人は復数人を設定することができます。例えば前妻の子、妻の子と半分ずつにすることもできるのです。

貯蓄型の「終身保険」 解約返戻金は夫婦の共有財産とみなされ、財産分与の対象になる

Q:「今度は貯蓄型の「終身保険」ですね。こちらの見直しポイントは?」

貯蓄型の保険は、毎月の保険料が高い分、解約時に戻ってくる解約返戻金があります。

ここで注意したいのは、離婚時の解約返戻金は夫婦の共有財産とみなされることです。
例えば結婚と同時に夫が終身保険を契約(受取人は妻)、離婚時の解約返戻金が200万円だった場合、半分の100万円については財産分与の対象となり、妻に受け取る権利が発生します。

Q:「そうなると貯蓄型の保険は、離婚で必ず解約しないといけないのでしょうか」

夫が離婚しても終身保険を解約したくないなら、100万円を自分の資産から妻に支払えばよいでしょう。もし夫の浮気が原因の離婚の場合、財産分与に加えて、妻への慰謝料がプラスされるでしょう。資産がない夫は、結果的に慰謝料と併せて解約返戻金を全額妻に渡すことになってしまうケースもあり得ます。

夫が契約した終身保険の受取人が妻になっている場合の見直し例を挙げてみます。こちらは前述の収入保障保険と同じ考え方になります。

【終身保険の見直し例】

契約者:夫 被保険者:夫 受取人:妻
 → 受取人を妻から子どもに変更
 → 受取人を夫の親や兄弟に変更(子どもがいない場合)
 → 再婚相手、再婚相手との間にできた子どもに変更(再婚した場合)
 → 前妻の子と妻の子など、複数人に変更

貯蓄型の「学資保険」 毎月の保険料を養育費に入れるかどうか

Q:「最後は貯蓄型の学資保険ですが、ここでのポイントは?」

学資保険は毎月保険料を支払い、子どもが18歳を迎える満期にまとまったお金が得られるものが一般的。学資保険も貯蓄型なので、離婚時の解約返戻金を夫婦で半分ずつ分けあうのは終身保険と同じです。離婚で子どもの親権を妻がもった場合、離婚後に支払う保険料を夫が毎月払う養育費に含むかどうかは夫婦の話し合いとなります。

学資保険の見直し例
契約者:妻 被保険者:子 受取人:妻 → 変更する必要なし

離婚時の保険見直しのポイントと注意点

4つの保険についてお話ししましたが、最後にどの保険にも共通する大切なポイントをご紹介しておきます。

保険は資産管理 

「貯蓄型の保険は資産」ととらえましょう。

保険は定期的にメンテナンス 

結婚や離婚、子どもができたときなど、定期的に見直ししましょう。

いまどうかではなく、この先どうなるかで決断しよう 

契約期間によっては解約が損になることもあります。出口もしっかりと考えて加入しましょう。

保険内容はいつもクリアに 

契約している保険ごとに、契約者・被保険者・受取人の3つを一覧表にしておくと、いざというときに便利です。

できれば契約者と被保険者は同じがよい 

両者を同じにしておくと、保険の管理がわかりやすくなり、後にもめることも少ないのでおすすめです。(生命保険料控除や、保険金受取時の税金等の観点から意図的に契約者と被保険者を分けるケースもあります)

保険料は年齢によって変動することに注意 

離婚をしたときに解約、その後、再加入すると年齢が上がった分、保険料も上がるので注意が必要です。

貯蓄保険の返戻率は経過年数とともに上がっていく 

貯蓄型の保険は、支払期間が満期に近づくほど返戻率が上がります。離婚時に安易に解約せず、契約者を変更して支払期間満了まで払い続ける・または払済みにする方が良いと言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。細かくて難しい印象の保険ですが、その特徴に分けて考えるとわかりやすくなりますね。保険は一度契約したら、その安心感からついそのまま放っておきがちですが、人生の節目で定期的に見直す習慣を身につけるとよさそうです。先のみえない世の中を少しでも安心して渡っていけるように考え出された人間の知恵が保険です。いざというときに必要な保障を受けるためにも、契約内容はいつも把握しておきたいですね。

プロフィール

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ウーマンライフエキスパート : 菱村 真比古(ひしむら まさひこ)

中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャル・プランナー。結婚や住宅購入のほか、社会保険制度が複雑に絡むライフプランをシンプルに紐解きます。柔軟かつ合理的な相談対応力で活躍中の「女性の人生を豊かにクリエイトするお金と保険のエキスパート」です。

得意分野 : ライフプランニング、住宅ローンアドバイス、相続の準備と対策
保有資格 : トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、DofD認定プロデューサー(T-PEC社認定)、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、公的保険アドバイザー®

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Writerこの記事を書いたライター

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