サラリーマンも税金が還付される!確定申告と節税のいろは

【監修: R&C株式会社 ファイナンシャルプランナー 菱村真比古】

2月16日から始まる確定申告。
確定申告というと、個人事業主やフリーランスだけが対象と思いがちで、
サラリーマンの方にはあまり馴染みがないかもしれません。

税制には、入院したり火災や盗難にあったりしたときに税負担を軽くする
さまざまな控除があります。
確定申告によって控除を受けると、結果的に節税につながります。

サラリーマンこそ知っていたい、確定申告のノウハウをお届けします。

【目次】
◆ 副業していたら会社員でも確定申告が必要?
◆ こんな人は確定申告で税金が戻ってくる

◆ 医療費の還付申告をしてみよう
◆ 保険も控除対象、加入の保険はしっかり申告を
◆ 被災したら、雑損控除か災害減免法で負担を軽く
◆ サラリーマンも節税意識を持って

 

副業していたら会社員でも確定申告が必要?

サラリーマンは、年末調整で確定申告をする必要がないため、
案外、税金について疎い方が多いようです。
払い過ぎの税金が戻ってくるチャンスをみすみす逃さないように、
まず基本的なおさらいから始めましょう。

年末調整って何?

所得税の額は、1年間の収入をもとに決まります。
サラリーマンの場合、毎月の給与やボーナスから
あらかじめ所得税が天引きされています。
これを「源泉徴収」といいます。

源泉徴収は見込みの金額なので正確ではありません。
年末になって1年間の収入が確定した時点で、
正確な金額になるよう精算されます=「年末調整」

会社がこうした手続きを行ってくれるので、
多くのサラリーマンは年末調整の書類を提出すれば、
確定申告をする必要がないわけです。

確定申告とは?

1年間(1月1日~12月31日)の収入から経費を引いた「所得」をもとに、
それに対する税額を計算し、税務署に提出して、
その年の所得税を確定するための手続きです。
翌年の2月16日から3月15日の間に申告・納税します。

個人事業主やフリーランスの方は、サラリーマンのような年末調整がないため、
自分で1年間の収入と経費を集計して、納税額を申告しなければならないのです。

サラリーマンでも確定申告の必要がある場合

サラリーマンでも、確定申告が義務付けられているのは、主に以下のとおりです。

年間の給与収入が2,000万円を超える
年間の給与収入が2,000万円を超える人は年末調整ではなく、確定申告が必須となります。

2カ所以上から給与をもらっている
2つ以上の会社から給与を受け取っている方も確定申告が必要です。

ただし、給与所得の合計金額から一定の所得控除を引いた金額が150万円以下で、
さらにその他の収入の合計が20万円以下の場合、確定申告は不要です。

20万円を超える副業収入がある
副業とは、原稿執筆や講演、翻訳や入力、ネットビジネス(アフィリエイト、ネットオークション)、

アパート経営などのサイドビジネスを指します。

給与所得のある人が、副業で収入を得た場合、
副業収入の金額から必要経費を引いた金額が20万円を超えるときは
確定申告の必要があります。

最近は副業を持つサラリーマンも増えてきました。
副業収入を得た場合、支払い側が事業者なら、報酬額などを税務署に報告しているため、

確定申告をしないと延滞税や無申告加算税などの
ペナルティーが課されることがあるので要注意です。

保険の満期金を受け取った
保険の満期金、または中途解約での解約返戻金は、今までの払い込み保険料を引いて、

一定金額以上なら申告が必要です。
サラリーマンは優遇されており、計算式は下記のとおり。

(保険金―払込保険料―特別控除額50万円)×1/2=課税金額

この計算で課税金額が20万円以下なら申告の必要はありません。

こんな人は確定申告で税金が戻ってくる

控除のなかには年末調整ではできないものもあります。
「医療費控除」「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」の1年目、
「寄附金控除」が代表的ですが、各種控除の要件に当てはまる方は、
納め過ぎの税金が還付される可能性があるので、ぜひ確定申告をしましょう。

具体的に確定申告をするとお得なのは、主にこのような場合です。

◆ 医療費が年間10万円を超えた
年間の医療費が10万円を超えた場合、「医療費控除」が受けられ、

その分だけ所得から引くことができます。

◆ 住宅ローンを組んだ
住宅ローンを組んで住宅を購入・入居したとき、

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」として、
毎年末の住宅ローン残高の金額の1%が10年間にわたって税額から控除されます。

1年目は自分で確定申告を自分で行わなければなりませんが、
2年目以降は会社の年末調整で税額控除をしてくれるので、確定申告は不要です。

※住宅の取得・改修に関する控除としては、
「認定長期優良住宅ローン控除の特例」「特定増改築等住宅ローン控除」
=(バリアフリー改修工事、省エネ改修工事、三世代同居改修工事)、
「住宅耐震改修特別控除」などもあります。

◆ 寄付をした
国、地方公共団体、日本赤十字社などの国が定めた団体に2,000円を超える寄付をしたら、

「寄付金控除」が受けられます。
「寄付金額」または「その年の総所得金額の40%」のいずれか低いほうの金額から
2,000円を引いた金額が、所得から差し引かれます。
最近人気の高い「ふるさと納税」も寄付金控除の対象です。

◆ 中途退職した
年の途中で退職して無職やフリーランスになった場合、年末調整を受けられないので、

税金の精算ができないままになる恐れがあります。
こうした場合は、自分で確定申告をすることで、
払い過ぎの税金があれば還付してもらうことができます。

◆ 災害や盗難にあった
自然災害に遭った場合は、「雑損控除」または「災害減免法」のいずれかで

所得税が軽減・免除されます。
盗難などで住宅や家財の損害を受けた人は「雑損控除」で控除が受けられます。

◆ 仕事の必要経費を自費で払った
サラリーマンの必要経費のための「給与特定支出控除」があります。

通勤費、転居費、研修費、資格取得費、単身赴任者などの帰宅旅費などに加え、
スーツや書籍費、接待交際費などまで範囲が広いのが特徴ですが、
会社が「職務に必要」と認めることが条件。

会社が必要経費と認めた費用の合計額が、「同年の給与所得控除額の2分の1」を超えた場合、
その超えた分の金額を確定申告で所得から控除できます。

医療費の還付申告をしてみよう

年間で支払った医療費が10万円を超えたとき、その分が所得から控除でき、
税金が戻ってくる「医療費控除」

申告者本人だけでなく、生活を一にする家族全員の医療費を合算して
10万円を超えれば対象になるので、医療費のかかった年はありがたい控除です。
計算式は

(年間医療費総額-保険金医療保険の給付金などで補てんされる金額)
―10万円(年間所得が200万円未満なら、総所得金額の5%)=医療費控除額

この医療費控除額を、所得から差し引くことができます。

※保険金などで補てんされる金額とは、
健康保険の高額療養費や民間保険の入院給付金などを指します。

対象になる医療費とは

「医療費」として対象になるのは、基本的に「治療や療養のための費用」。
美容や病気予防のための費用は認められません。

医療費控除となるもの……
医師または歯科医師による治療費・薬代、通院のための交通費、
市販の風邪薬などの医薬品、あん摩マッサージ指圧師や
柔道整復師などの治療目的の施術費、出産費用、レーシック手術、
治療のために必要な眼鏡・コンタクトレンズの購入費用、不正咬合の歯列矯正費用。

医療費控除とならないもの……
美容目的のインプラント、健康増進の栄養ドリンク剤・ビタミン剤の購入、
健康維持のためのマッサージ代、健康管理のための
予防接種・健康診断・人間ドック費用など。

※健康診断・人間ドックなどの費用でも、その診察で
「大きな病気が判明し治療した」場合は医療費控除の対象になります。

医療費控除の申告のポイント

1年間の医療費の領収書を申告書に添えて税務署に提出する必要があるので、
しっかり保管しておきましょう。
e-Taxで確定申告する場合は、領収書などの添付が不要ですが、
税務署から領収書の提示を求められる場合に備え、
確定申告期限から5年間は保管しておきます。

通院交通費は、基本的に緊急時のタクシー代は例外として、
電車やバスなどの公共機関の運賃しか認められません。
これは領収書がないので、自分で運賃明細表をつくって添付します。

セルフメディケーション税制に備えて

医療費控除制度の特例として、平成29年1月から
「セルフメディケーション税制」が始まりました。
膨張する国民医療費を抑えるために、
軽い症状は市販薬によって治療することを推進する国の政策です。

セルフメディケーション税制は、ドラックストアや町の薬局で購入した市販薬が対象。
申告者と生計を一にする家族の分も合算して1万2,000円を超えると、
超えた部分の金額が8万8,000円を上限として控除されます。

ただ、市販薬ならなんでもOKではなく、対象は「スイッチOTC医薬品」だけ。
スイッチOTC医薬品とは、以前は医師の処方せんが必要だった医療用医薬品が、
一般用医薬品として市販されるようになったもの。
鎮痛剤、風邪薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫用薬、
肩こり・腰痛の貼付薬など約1,500品目あります。

対象商品は、厚生労働省のHPを参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000124846.pdf

セルフメディケーション税制を受けるには、
健康診断や予防接種などを受けていることが前提条件。
医療費控除とは併用できません。

病院にかかることが多い方は医療費控除、
ドラッグストアの薬で済ませることがほとんどの方は、
セルフメディケーション税制という選択になるでしょう。

原則として、申告書とともにレシートを税務署に提出することになります。

2018年2月の確定申告から活用できるので、
今からOTC薬を購入した際のレシートは保管しておくようにしましょう。

保険も控除対象、加入の保険はしっかり申告を

サラリーマンの方なら、生命保険料控除や地震保険料控除は
会社の年末調整で精算してくれますが、
年末調整時に控除を受け忘れた方は確定申告で控除を受けることができます。

生命保険の場合

生命保険に加入している人は、「生命保険料控除」が受けられます。
平成24年から介護医療保険が加わり、生命保険料控除は下記の3種類になりました。

1. 一般生命保険料控除……死亡保険、養老保険、収入保障保険、学資保険など
2. 個人年金保険料控除……個人年金保険など
3. 介護医療保険料控除……医療保険、がん保険、介護保険など

生命保険料控除については、新契約(平成24年1月1日以降に加入)か、
旧契約(平成23年12月31日までに加入)かによって、多少控除額が変わります。
支払った年間保険料によって異なりますが、
新契約の場合は、3種とも控除額はそれぞれ最高4万円。
合計12万円まで所得控除を受けることができます。

地震保険の場合

居住用の住宅や家財を保険の目的とした地震保険に加入している人は
「地震保険料控除」が適用されます。
地震保険は単独で加入はできず、火災保険とのセット契約が原則なのですが、
火災保険料部分は地震保険料控除の対象となりません。
地震保険料控除の控除額は最高5万円になります。

生命保険、地震保険ともに、確定申告の際には、
9月から年末にかけて保険会社から送付される生命保険料控除証明書や
地震保険料控除証明書の添付が必要です。

被災したら、雑損控除か災害減免法で負担を軽く

不慮の災害にあったときの負担軽減として雑損控除」「災害減免法」があり、
税金の控除や減免・免除が行われます。

雑損控除

火事や地震、台風、落雷、雪害、害虫、さらに盗難などによって、
住宅や家財が損害を受けたときや、災害でやむを得ず出費したときは
「雑損控除」が受けられます。

年末調整では受けられないので、
サラリーマンの方は自分で確定申告をする必要があります。

雑損控除の対象は、申告者とその扶養家族の「日常生活に必要な資産」です。
具体的には、住宅、家財・衣類・現金など。
泥棒にクレジットカードを盗まれ不正使用された場合も対象になります。

1.(損失額+災害関連支出金額-保険金などによる補てん金額)-総所得金額等×10%
2. 災害関連支出金額-5万円

1か2のどちらか多いほうが雑損控除額になります。

※災害関連支出金額とは、壊れた住宅や家財の取り壊しや後片付けの費用などのことです。

災害減免法

災害で住宅や家財の時価の2分の1以上の損失を受けたときは、
「災害減免法」で、直接、税金が軽減・免除してもらえます。

災害のあった年の所得金額が1,000万円以下の方が対象で、
震災、水害、火災などの災害で受けた損害を受けた場合、
所得金額に応じて所得税額が軽減されます。
災害減免法の適用を受ける場合は、必ず確定申告をしなければなりません。

なお、雑損控除と災害減免法は併用できないので、どちらか一方を選択することになります。
雑損控除は災害と盗難による災害が対象ですが、災害減免法は災害による損害のみが対象。
住宅や家財への被害は、どちらか有利なほうを選んでください。

サラリーマンも節税意識を持って

税金のことは「年末調整してくれる会社まかせ」という方も多いと思います。
でもご覧のように、所得税の控除にはさまざまなものがあります。

所得金額から差し引かれる各種控除金額が多いほど、税金は少なくなります。
つまり確定申告をすることで、
年末調整で算出された所得をさらに低くすることが可能というわけです。

また、算出された税額からさらに差し引く控除もあります。
税務署が「税金の払い過ぎですよ」と教えてくれることはありません。
ここはしっかりと税の知識を持って、自分のお金を守ってください。

還付のための確定申告は、5年間までさかのぼって申告ができます。

過去に確定申告をしていない年があった場合、生命保険料控除証明書や、
医療費や寄付金の領収書などがあれば申告できるので、
一度引き出しの中をチェックしてみてはいかがでしょう。
今からでも申告すれば、税金が取り戻せるかもしれません。

※なおそれぞれの控除を受けるには、所定の要件を満たしたり、
証明書等の書類が必要になります。
詳しくは管轄の税務署や税理士に確認・相談をしてください。

監修者プロフィール

R&C 菱村真比古

R&C株式会社 菱村 真比古(ひしむら まさひこ)
中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャル・プランナー。結婚や住宅購入のほか、社会保険制度が複雑に絡むライフプランをシンプルに紐解きます。柔軟かつ合理的な相談対応力で活躍中の「女性の人生を豊かにクリエイトするお金と保険のエキスパート」です。

得意分野 : ライフプランニング、住宅ローンアドバイス、相続の準備と対策
保有資格 : トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、DofD認定プロデューサー(T-PEC社認定)、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、公的保険アドバイザー®

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Writerこの記事を書いたライター

LAIFadmin

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