親が要介護になる前に知っておきたい、地域で高齢者を支えるしくみ

平成26年の介護保険改正により、平成27年度から地域支援事業の充実が図られています。介護予防や、将来親が生活支援を必要とするときのために、高齢者を地域で支えるしくみを知っておきましょう。

【目次】
◆ これから高齢者は地域で支える時代に。法制度も後押し
◆ 高齢者の一人暮らしも安心。生活支援の充実
◆ 進む地域在宅医療と介護の連携
◆ 国や地域で支える認知症
◆ まとめ

これから高齢者は地域で支える時代に。法制度も後押し

親が高齢になると、いつ介護が必要になってくるかわかりません。誰が世話をするのか、いくらかかるのか、またどんな公的サービスを受けられるのか、今から少しずつ考えておきたいもの。「介護」について考えたとき、まず初めに知っておきたい制度が「介護保険制度」です。

介護保険制度とは

介護が必要となったとき、自立した生活ができるよう高齢者の介護を国民全体で支える仕組みのこと。毎年増加し続ける高齢者の介護を家族だけで行うには限界があり、社会全体で担おうという考えから、平成12年に施行されました。

どんな人が介護サービスを受けられる?

介護保険制度によって、支援または介護が必要な人が7段階に分けられ、それぞれに必要なサービスが受けられます。

被保険者は、大きく分けて2種類

・65歳以上で市町村内に住所のある人
・40歳以上65歳未満で市町村内に住所があり、医療保険に加入している人

これらは原則として、利用したサービスの1割が自己負担額となります。

平成27年度より実施される事業の概要

介護保険制度は、時代の移り変わりとともに改正が行われます。今回の法改正は、「地域包括ケアシステムの促進」と、低所得者の保険料の軽減を進め、一定以上の所得のある利用者の自己負担を引き上げる「費用の公平化」の2つが主な内容です。

●地域包括ケアシステムの促進

地域包括ケアシステムとは、住まい・医療介護・予防・生活支援、それぞれがお互いの関係を深めて提供されるシステムのこと。高齢者が住み慣れた地域で生活を続けていけるよう、市町村の自主性や主体性に基づきつくり上げていくことが決まりました。

サービス面では、以下のように充実が図られます。

・在宅医療・介護連携の推進
・認知症施策の推進
・地域ケア会議の推進
・生活支援サービスの充実・強化

このほか、特別養護老人ホームに新規で入所できるのは、原則、要介護3以上になります。

こうした事業の推進により、地域の特色を生かしながら高齢者を支えるしくみが充実していくことが見込まれています。

参考:厚生労働省老健局介護保険の第6期計画(平成27年~29年度)および平成37年(2025年)における第一号保険料及びサービス見込み量について」平成27年8月3日(月)

高齢者の一人暮らしも安心。生活支援の充実

一人暮らしの高齢者や、高齢者夫婦世帯は増加の一途をたどっています。とくに親と離れて暮らしている場合、知っておきたいのが地域の生活支援や介護予防サービス。具体的にどのようなサービスが受けられるのでしょうか。

生活支援

地域住民の互助活動や、NPOなどが生活で困っていることを支援してくれるサービスです。

主に、家事援助(掃除・買い物・洗濯)、配食サービス、外出支援(車での送迎)、通院の付き添いなどのサービスが受けられます。

介護予防サービスの充実

「介護予防」とは、要介護になる前に予防することをいいます。介護予防サービスは、以下の3つの種類に分かれています。

自宅訪問型: 入浴や食事などの手助けをしてもらうことができます。
通所型: 「デイサービス」や「デイケア」がこれに当たります。施設に行き、入浴や機能訓練、リハビリなどのサービスが受けられます。
入所型: 施設に入所してサービスを受けられます。

介護予防サービスは、要支援1 、要支援2 、要介護1 のランクに属しており、サービスを受けることによって現状維持または改善が期待できる人が対象となっています。


このように、身近に家族や介護者がいない高齢者でも、地域のサービスによって安心して生活ができる工夫がされているのです。

元気なうちは自治会の活動やボランティアに参加し、住んでいる地域とつながっておくことも介護予防につながります。今回の改正では、高齢者が住み慣れたところで暮らしていくために、高齢者自身も社会参加し、生活支援や介護予防サービスが利用できるよう、平成29年度までにすべての市町村が介護予防・生活支援サービス事業を実施することになりました。

全国一律で提供されてきた予防給付のうち、介護予防訪問介護・通所介護は、市町村が取り組む地域支援事業へ段階的に移行します。これによりNPOや民間企業、ボランティアなどによる地域の実情に応じた多様なサービスの提供が期待されています。

事業内容は市町村によって異なるため、役所や最寄りの地域包括支援センターで確認してください。

進む地域在宅医療と介護の連携

高齢者が病気やケガで入院し退院したあと、自宅でどのように医療を受ければよいのでしょうか。地域で進んでいる在宅医療・介護の連携の取り組みをご紹介します。

医療と介護の連携

医療と介護の両方を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で暮らせるように関係機関が連携して、在宅医療や介護の提供をしています。

<在宅療養を支える機関>

病院や診療所は訪問診療などを、訪問看護事業所や薬局は医療機関と連携し服薬管理や点滴などの医療処置を行っています。

また介護サービス事業所では在宅での入浴や排せつ、食事などの介護を行い、在宅医療を支えています。

今回の介護保険法改正は、医療関係の法律の改正など他の分野の法改正とともに行われました。それらを束ねている法律を「地域医療・介護総合確保推進法」といい

①消費税増税分を活用した新たな基金を都道府県に設置する
②効率的な医療提供体制の構築する
③看護師による特定行為を明確化し、在宅医療に役立てる
④介護する人材を確保するための対策をとる

医療・介護の関係機関が連携して、在宅医療・介護を包括的に提供できる体制の構築を進めることになっています。

国や地域で支える認知症

現在65歳以上の高齢者のうち、およそ4人に1人が認知症、または認知症予備軍といわれています。国は認知症に対してどのような施策を考えているのでしょうか。

平成27年1月に「認知症の人の意思を尊重され、住み慣れた場所で自分らしく暮らすこと」を基本指針とした認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が示されました。

オレンジプランとは、平成24年9月に「認知症施策推進5ヵ年計画」として、厚生労働省が発表したプランです。その後、高齢者数が当初の見込みよりも多くなると予想されたため、「認知症施策推進総合戦略」として新オレンジプランが示されました。

新オレンジプランの7つの柱

①認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
②認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
③若年性認知症施策の強化
④認知症の人の介護者への支援
⑤認知症を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
⑥認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
⑦認知症の人やその家族の視点の重視

 

一方、改正介護保険法では、地域で次のような認知症施策を推進することになっています。

・地域包括支援センターなどに、本人や家族への支援を行い、自立生活のサポートをする「認知症初期集中支援チーム」を整備

・「認知症地域支援推進員」が認知症の人が住み慣れた環境で暮らしていけるよう、地域の実情に応じて医療機関や介護サービス事業所、地域の支援機関などをつないだり、本人や家族への相談業務などを実施

国は認知症の関連予算を平成27 年度は約48億円だったのに対し、平成28年度から約82 億円へと増額しています。他にも認知症介護者の介護と仕事の両立を手助けするため、ハローワークによる就労支援を行うなど「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」を推進しています。

参考:厚生労働省HP 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)

まとめ

少子化が進む一方で、平成37(2025)年には団塊世代が75を超える日本。これを踏まえ、地域には高齢者を支えるさまざまなサービスがあります。介護保険制度改正では平成27年度から、地域の人々がお互いに助け合うしくみの活性化が図られ、町ぐるみで介護を行っていこうという動きになりました。

介護を通した地域とのつながりは、親だけでなく将来自分自身にも必要です。介護保険制度や地域の取り組みをよく知って、親の介護に備えましょう。

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