がんばかりでない。慢性腎不全や肝硬変で働けなくなったらどうする?

【監修: R&C株式会社 ファイナンシャルプランナー 菱村真比古】

生活習慣病が悪化すると入院だけでなく、人工透析など負担のかかる通院治療を余儀なくされることも。
慢性腎不全や肝硬変など生活習慣病と密接に関わる病気のリスクと、医療費や収入の減少に備える保険について考えてみましょう。

【目次】
◆ 重症になると入院も。三大疾病以外の生活習慣病のリスク
◆ 人工透析は高額? 治療費と負担を軽減する制度
◆ 生活習慣病が原因で働けないとき、収入をカバーしてくれる保険
◆ 住宅ローンを借りている人・これから借りる人の場合は?

 

重症になると入院も。三大疾病以外の生活習慣病のリスク

生活習慣病のうち、がん、脳卒中、急性心筋梗塞は日本人の死因でとくに多い病気です。

この「三大疾病」以外の生活習慣病も、重い場合は入院したり、長期の通院治療が必要な場合があります。

生活習慣病の中でも高血圧性疾患、糖尿病、肝疾患、腎不全について、入院日数はどのくらいなのか、起こりやすい合併症にはどんなものなのがあるのかを見ていきましょう。

高血圧性疾患

平均入院日数:60.5日
合併症:脳(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、心臓(狭心症・心筋梗塞・心不全)、腎臓(慢性腎臓病・腎不全)など。

慢性的に血圧が正常値より高い状態を高血圧といいます。
全身の血管に負担がかかるため、診断されたら適切な治療を受け血圧の上昇を防ぐことが大切です。

糖尿病

平均入院日数:35.5日
合併症:目(糖尿病性網膜症)、腎臓(糖尿病性腎症)、末梢神経(糖尿病性神経障害)など。

これらを糖尿病の三大合併症といいます。
途中失明や透析になる確率が高い糖尿病。治療をきちんと行い日頃から血糖コントロールすることで、合併症が起こるのを防ぐ必要があります。

肝疾患

平均入院日数:25.8日
合併症:食道静脈瘤、胃静脈瘤、肝性脳症など。

最初は無症状のことが多い肝疾患。急性で終わるものと慢性化して進行するものがあります。
肝がんに至るものもあるので注意が必要です。

腎不全

平均入院日数:62.9日
合併症:体液過剰、高カリウム血症、高血圧、心不全、肺水腫、尿濃縮力障害など。

腎不全には急激に腎機能が低下する急性腎不全と、長い年月をかけてゆっくりと悪化していく慢性腎不全があります。
腎機能が低下し末期腎不全になると、人工透析や腎移植が必要になります。
早期に治療を始めれば、機能の低下を防ぎ進行を遅らせることも可能といわれています。

これらの生活習慣病に共通する特徴は、
・合併症を引き起こしやすい
・進行すると一生の付き合いになる

ということ。
三大疾病とは違い直接の死因には結び付きにくい病気ですが、適切な治療を受けながら生涯付き合っていくことになります。

闘病生活が長びくと仕事にも影響し、収入が減るリスクも考えなくてはなりません。

参考:厚生労働省「患者調査」平成26年

 

人工透析は高額? 治療費と負担を軽減する制度

生活習慣病の中で治療費が高額なのが人工透析です。
人工透析とは腎臓の機能を人工的に代替する医療行為のこと。
現在、日本では約32万人が人工透析を受けているといわれています。

■人工透析はいくらかかる?

人工透析の治療額は、血液透析で1か月40万円ほど、腹膜透析では30~50万円です。
健康保険を使うことが可能ですが、それでも3割を負担する必要があります。
このような負担を軽減するため、公的助成制度が設けられています。

■透析患者を支える公的制度とは?

・医療保険の長期高額疾病(特定疾病)
事前に「特定疾病療養受療証」を医療保険者に申請し交付を受けておけば、高額療養費の特例として自己負担の上限額が1か月1万円、一定以上の所得がある場合は上限額2万円になります。

・自立支援医療制度(更生・育成医療)
透析の自己負担分に助成が受けられる国の制度。
原則1割負担ですが、世帯の所得により自己負担額が変わります。
身体障害者手帳の交付を受け、自立支援医療機関として指定されている病院で治療することが必要です。

・小児慢性特定疾患治療研究事業
透析患者が18歳未満(20歳まで延長可能)の場合、医療費の助成が受けられる制度。

このほか、都道府県や市区町村などの各自治体でも助成を行っている場合があります。
制度は自治体によってさまざまなので、各役所やケースワーカーに問い合わせてみてください。

参考:日本透析医学会「慢性透析患者数の推移」、厚生労働省「自立支援医療制度の概要」

 

生活習慣病が原因で働けないとき、収入をカバーしてくれる保険

現代では医療の進歩により大病を患っても大事に至ることなく延命できるケースが増えています。
命を取り止めた後の働けない期間、収入をカバーしてくれる保険にはどのようなものがあるの。

A:「5疾病就業不能特約」をつけると、がん、急性心筋梗塞、脳卒中、肝硬変、慢性腎不全で、一定の働けない状態になったときに給付金1回100万円を何度でも受け取ることができる保険。

B:がん、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性腎不全の七大生活習慣病で入院したきの支払い日数を拡大して保障している保険。うち三大疾病による入院は支払いが無制限。

C:一般的な傷病は入院保障を30日に抑え、七大疾病(ガン、糖尿病、心疾患、高血圧性疾患、脳血管疾患、肝疾患、腎疾患)は31日目から日数無制限で保障することで合理的な保険料に。ストレス性疾病でも入院日数が延長できる。

万が一のことがあったとき手厚い保障がついた保険は心強い存在になります。遺伝的要素や自身の生活、健康診断の結果を見極め、どのような病気になりやすいか考えて保険を検討してみるのも一つの手です。

 

住宅ローンを借りている人・これから借りる人の場合は?

病気治療のため医療費がかかったり収入が減ったとき、住宅ローンを抱えていると、支払いが心配になります。
金融機関で住宅ローンを組むときには、団信(団体信用生命保険)に加入することが義務付けられています。

団信とは、住宅ローンを借りた人が亡くなったり高度機能障害になったりした場合、残りの債務を保険金で清算する仕組みのことをいいます。

では病気を患い住宅ローンが返済できなくなってしまったとき、残りのローンはどうなるのでしょうか。

団信の保険料と保障内容

 

団信

三大疾病保障付団信

七大・八大疾病保障付団信

保険料 保険料の支払いは不要
(フラット35の場合
別途保険料負担)
住宅ローン金利に0.3%程度
上乗せ、別途負担など
年齢・ローン残高・借入内容などにより
別途保険料の負担
保障

内容

死亡・高度障害 死亡・高度障害
がん・脳卒中・急性心筋梗塞
死亡・高度障害、がん・脳卒中・急性心筋梗塞、高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変
(八大疾病の場合は慢性膵炎も含む)

通常の団信の他に、三大疾病保障付団信、七大疾病保障付団信、八大疾病保障付団信を取り扱う金融機関があります。
金利に0.3%程度の上乗せや借り入れ内容により別途保険料を支払う場合があるので、加入時によく確認しましょう。

また特約付きの団信は途中解約ができません。
現在加入している医療保険と団信の保障に重複する部分がないか確認してから加入しましょう。

すでに住宅ローンを借りていて死亡保障のみの団信に加入している人は、別途生活習慣病の保障が手厚い医療保険を検討するという選択もあります。

生活習慣病は生涯にわたり長く付き合っていく病気です。
そのため、悪化すると合併症を引き起こす可能性や、通院や入院で働けなくなるリスクがつきまといます。
公的制度や生活習慣病を保障する民間の保険、特約付きの団信など、リスクをカバーしてくれる制度を理解し、上手に活用しましょう。

監修者プロフィール

R&C 菱村真比古


R&C株式会社 菱村 真比古(ひしむら まさひこ)
中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャル・プランナー。結婚や住宅購入のほか、社会保険制度が複雑に絡むライフプランをシンプルに紐解きます。柔軟かつ合理的な相談対応力で活躍中の「女性の人生を豊かにクリエイトするお金と保険のエキスパート」です。

得意分野 : ライフプランニング、住宅ローンアドバイス、相続の準備と対策
保有資格 : トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、DofD認定プロデューサー(T-PEC社認定)、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、公的保険アドバイザー®

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Writerこの記事を書いたライター

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