春は花見や歓送迎会で、お酒を飲む機会が増えてきます。
でも、つい羽目を外して飲みすぎると、急性アルコール中毒で救急車搬送される危険も…。
実は急性アルコール中毒は、ときに命を落としてしまうこともある恐ろしい状態です。
仲間の様子がおかしいと思ったらどうしたらよいのでしょうか。
急性アルコール中毒の症状と対策をご紹介します。
【目次】
◆ 急性アルコール中毒とは
◆ 急性アルコール中毒の症状
◆ 急性アルコール中毒になったらどうしよう…
◆ 急性アルコール中毒にならないようにするには
◆ まとめ
急性アルコール中毒とは
東京消防庁によると、東京都内だけでも男女合わせて毎年1万人以上が
急性アルコール中毒で救急搬送されています。
飲酒しない若者が増えているといわれる一方で、救急搬送の約半数は20代となっています。
急性アルコール中毒の原因は、もちろんお酒の飲みすぎです。
人はお酒を飲むと血中アルコール濃度が上がります。
この血中アルコール濃度が0.4%を超えると、生命に危険を生じる急性アルコール中毒となります。
お酒は強い人も弱い人もいますが、どんな人でも絶対にやってはいけないのは「一気飲み」。
たとえば体重50kgの人の場合、缶ビール(350mL)7缶以上を一気飲みすると、
血中アルコール濃度が危険水域の0.4%を超える恐れが生じます。
お酒を飲み慣れていなければ、自分自身の適量はなかなかわかりません。
また普段お酒に強くても、体調によって悪酔いすることもあります。
特にお酒を飲んで顔が赤くなる人は、アルコールの分解が遅いので、より注意が必要です。
急性アルコール中毒の症状
お酒を飲むとリラックスしたり陽気になったりします。
さらに酔いが進むと、ろれつがまわらなくなる、足元がふらつくといった状態になります。
さらに進んで血中アルコール濃度が危険な0.4%を超えると「昏睡」「吐く」
「血圧が下がる」「呼吸が減る」といった急性アルコール中毒の症状がでてきます。
なかには呼吸停止(呼吸不全)や急性心不全が起き、
脳に血液が回らなくなったことで重篤な後遺症が残った例も報告されています。
また飲酒で転んだときの打ち所が悪かったり、吐いたもので窒息したりして
亡くなってしまうケースもあります。
飲みすぎによりしっかり立てない、歩けないという状態は、
「車や電車に轢かれる」「海や川で溺れる」「酔ったはずみの言動がトラブルを引き起こす」など、
さまざまな危険があります。たかがお酒を思わず、こうしたリスクを知っておくことが大切です。
急性アルコール中毒になったらどうしよう…
急性アルコール中毒になると、自分で何とかすることはできません。
「しばらくすれば酔いが覚めてひとりで帰れるだろう」と、
昏睡状態の人を放ってその場を立ち去るのは危険です。
一緒にお酒を飲んでいた人の様子がどうもおかしい、
急性アルコール中毒かもしれないと感じたときは、
すぐ救急車を呼ぶと同時に、次のような対処を心掛けましょう。
- 絶対に一人にしない。
- 衣服をゆるめて楽にする。
- 体温低下を防ぐため、毛布などをかけて暖かくする。
- 吐物による窒息を防ぐため、横向きに寝かせる。
- 吐きそうになったら、抱き起こさずに横向きの状態で吐かせる。
急性アルコール中毒にならないようにするには
最後までお酒の席を楽しく過ごすには、自分のペースにあった
お酒の飲み方を心掛けることがポイントです。
お酒が強いと自覚していても、疲れているときは体調をチェックしながら
ゆっくり飲むようにしましょう。
もちろん一気などで、他人に無理やり飲ませることは
アルコールハラスメントであり、厳禁です。
特に新人歓迎会などでは、若者は自分の適量を知りません。
「飲めば飲むほど、吐けば吐くほど強くなる」といって飲ませるのは、
急性アルコール中毒を煽っている危険性があります。
たとえ本人が「まだまだ飲めます!」と言っても、
あきらかに飲みすぎと思われるときは、それ以上飲ませないほうがよいでしょう。
飲酒を強要し、急性アルコール中毒で死亡させてしまった場合は、
刑法第二百五条(傷害致死罪)が適用され、3年以上の懲役が科せられます。
まとめ
お酒は人間関係の潤滑油ともいわれます。
お互いお酒でリラックスして話すことで、
そこに理解や絆が生まれることも少なくありません。
楽しいはずのお酒が急性アルコール中毒で悲しいお酒にならないように、
賢い大人の飲み方を心掛けたいですね。