年末を控え、人々が慌ただしく動く冬の時期。インフルエンザや胃腸炎などを引き起こすウイルスも活発に動き始め、2016年は11月時点で患者数が昨年比の4.7倍と例年よりも早く流行が始まっています。
なぜインフルエンザやノロウイルスは冬に流行るのか、予防法など紹介します。
【目次】
◆ なぜインフルエンザや胃腸炎が冬に多いの?
◆ 発熱、下痢、悪心、嘔吐…。重篤化に要注意!
◆ インフルエンザ予防のポイントは3つ
◆ 感染性胃腸炎から身を守るために
◆ まとめ
なぜインフルエンザや胃腸炎が冬に多いの?
インフルエンザの流行は例年12月~3月。胃腸炎の流行は11月~4月。特に食中毒の半数を占めるノロウイルスについていえば、発生の70%は11月~2月。インフルエンザやノロなどのウイルスは冬に猛威を振るうのがわかります。
ウイルスは低温・低湿度で生存しやすい特徴があり、夏より冬に感染力を強めます。その一方、寒くて乾燥しやすい冬は、体温が下がって人間の免疫力は低くなる傾向に。
ウイルスの侵入を防ぐ喉や鼻の粘膜も冬は乾燥して傷みやすく、感染を起こしやすい状態です。また胃腸炎の感染経路の一つであるカキなどの二枚貝も冬に旬を迎え、十分に衛生処理されていないものを食べれば、感染が拡大する要因となります。
発熱、下痢、悪心、嘔吐…。重篤化に要注意!
インフルエンザ患者は、日本で毎年1,000万人。その症状は、一般的な風邪に見られるような咳、くしゃみ、鼻水といった局所症状のほか、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身に比較的急速に現れるのが特徴です。
一方ノロウイルスは、手指、食品を通して経口感染し、腸管で増殖して、嘔吐や下痢、腹痛、発熱などの症状を引き起こします。インフエンザもノロウイルスも感染力が非常に強く、子どもや高齢者は重症化することもあるので、注意が必要です。
インフルエンザ予防のポイントは3つ
インフルエンザにかからないためのポイントは、①感染経路を断つ、②免疫力を高める、③予防接種の3つ。飛沫や接触感染するインフルエンザウイルスには、こまめな手洗いが有効です。
重要なのは帰宅時、調理や食事前には、必ず正しい方法で手を洗うこと。併せてアルコール消毒を行うとより効果的です。免疫力が落ちると感染しやすいため、日頃からバランスのよい食事、十分な睡眠を取ることが大事。発症や、重い症状を防ぐために予防接種も受けておくと安心です。
万が一、急な38℃以上の発熱があり罹患が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を服用すれば、発熱期間が短くなるといわれています。家族などほかの人へ感染拡大しないためにもマスクは必ず着用してください。
感染性胃腸炎から身を守るために
ノロウイルスの感染経路は、人と食品の2つ。インフルエンザと違ってアルコール消毒は有効でないため、一番の対策が手洗いとなります。食品は加熱不足にならないよう85℃以上で1分以上の加熱を行うようにしましょう。
生ガキなどを食べる場合は、必ず生食用のきちんと衛生管理されたものを。患者の嘔吐物や便を処理する際は、二次感染を防ぐためにビニール手袋やマスクを着用して直接に触らないことが大切です。
強いノロウイルスは、通常手に入りやすい消毒薬としては次亜塩素酸ナトリウムではないと死滅しません(市販の塩素系漂白剤〈濃度5%程度〉を250倍に希釈して代用可)。汚物はペーパータオルでそっと取り除き、汚物のあった場所にペーパータオルを乗せ、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き取りましょう(※次亜塩素酸ナトリウムは手に触たり、酸性のものと混ぜたりしないこと)。
まとめ
インフルエンザも、胃腸炎も、基本の対策は、正しい手洗いとマスク着用です。まずは、ウイルスの感染経路を断つよう努めましょう。正しい手洗い方法は、厚生労働省のホームページ等で確認できますのでチェックしてください。
寒く乾燥する冬だからこそ、体調管理は十分にし、こまめな水分補給も忘れずに。手洗い、マスク、加湿器等で湿度を保つなど、ウイルスを寄せつけない環境づくりと、免疫力を高める規則正しい生活を心掛けて、楽しい冬を迎えてください。