いま増えている「死後離婚」 検討する前に知っておきたいメリット・デメリット

「死後離婚」ってご存知ですか?「夫と一緒のお墓に入りたくない」という妻が、夫が亡くなった後に籍を抜くことを「死後離婚」と呼びます。子どものため、生活のためなど、夫の生前に仮面夫婦として我慢を重ねてきた妻が、夫の死後に選択する自由な生き方のひとつが「死後離婚」といってもいいでしょう。

法的な制度として死後離婚は存在しません。法律では「夫婦間の婚姻関係は、どちらかが亡くなると自動的に終了する」と定められています。つまり夫の死亡届を出した時点で、夫との婚姻関係は終了しています。

【目次】
◆ すでに夫が亡くなっているのにわざわざ別れようと手続きする理由
◆ 死後離婚によってできること、できないこと
◆ 保険の手続きはどうなるの? 年金はもらえる?

 

すでに夫が亡くなっているのにわざわざ別れようと手続きする理由

なぜ死後離婚が増えているのか…その理由の多くは夫の親族が関係してきます。
というのも、死別で夫との婚姻関係は自動的に終了しますが、夫の親族との関係(姻族関係)は継続します。

つまり夫の親族の一人という立場は続きます。すると、妻は死んだときに夫のお墓に入れられてしまうだけでなく、年老いた夫の両親の面倒もみなくてはならなくなるかもしれません。それを避けるために行う「姻族関係終了」の届け出を「死後離婚」と呼んでいるのです。

よって夫が死ぬと婚姻関係はなくなるため、離婚届けは出せないということになります。それなのになぜ、籍を抜こうとする妻がいるのでしょうか。そこには夫の親族らとの関わり合いが絡んでいます。

この手続きを行うことで、夫の親族との婚族関係を終了させることができます。姻族でなくなれば、民法で規定されている扶助義務(お互いに助け合う義務)もなくなるのです。

参考:民法第728条(離婚などによる姻族関係終了)

死後離婚によってできること、できないこと

死後離婚による法的効果などについて説明していきます。

「死後離婚(姻族関係終了)」で夫の呪縛から逃れられるのはいいですが、相続で損をするのでは…? そう考えて不安になる妻は多いと思います。

結論からいうと、夫の死別で婚姻関係が終了しても、また姻族関係を終了させても、妻の相続権は残ります。したがって、夫からの相続に何ら影響はありません。

「もう夫の苗字を名乗りたくない」という場合には、苗字を旧姓に戻す「復氏届」を提出すればもとの姓に戻れます。ただし、お子さんがいる場合などは、子どもも一緒に姓を戻すのか、その場合学校へはいつ報告するのかなど、いろいろな問題が出てきます。

また姓を戻せばそれに応じて免許証や保険証、銀行や保険の名義などを書き換えることになります。旧姓に戻すならば、なるべく普段の生活への支障が最低限になるように進めたいものです。

死後離婚で想定されるデメリットは、夫の親族との関係悪化のリスクでしょう。妻にとって夫の親族は他人でも、子どもからすれば血のつながった祖父、祖母、親戚です。法事や祝い事など、大切な行事に顔を出すのが気まずくなる、まったくの疎遠になってしまうというデメリットを十分考慮し、死後離婚の届出を出すかどうかを決断することをおすすめします。

保険の手続きはどうなるの? 年金はもらえる?

では夫が契約していた保険はどうなるのでしょうか。
よくあるのは、夫の死で妻に生命保険金が入るというケースでしょう。実は、これも死後離婚の影響を受けることはありません。

ただ、保険金の受け取りで注意したいのは、受取人が請求しなければ支払われないという点です。保険金には請求しないまま2~3年が経過すると、消滅時効で受け取る権利を失ってしまいます。

「自分が受取人になっていることを知らなかった」
「大きな額じゃないので、忙しくてつい後回しに…」

そんなことで、せっかくの保険金を受け取れなくなるなんてことがないように注意が必要です。

次に少し複雑になりますが、妻の生命保険を夫が契約、夫が払っていた場合はどうでしょうか。このようなケースでは、

① 夫の相続人(妻や子)が保険を相続して解約、解約返戻金をもらう
② 夫の相続人(妻や子)が夫の保険契約を継続して相続する

のどちらかとなります。
つい忘れがちな保険ですが、いざというときに適切な行動に移れるように、誰がどういう契約をしているのか、普段から把握しておくことが大切です。

最後にもう一つ、気になるのは「遺族年金」でしょう。
こちらも夫からの相続と同様に、姻族関係終了届を出しても、社会保険庁で遺族年金の継続手続きを行えばもらうことができます。

いかがですか。死後離婚(姻族関係終了)をしても、相続や年金など、お金の面での妻の権利は意外に強固なことがわかります。夫の死後も、続いていく妻の人生。のちに後悔しないためにも慎重に選択をしていきたいものですね。

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