病気やケガから生活を守る「医療保険」を検討するときに押さえておきたい2つのポイント

現在、2歳の子供と学生のご主人との3人家族を持ち、一家の大黒柱として家計を支えていおる波川さん。自分が病気やケガをして一時的に働けなくなってしまったときのことを考えると、家族の生活、特にお金のことが心配になってきました。

入院した時に備えておきたい…という気持ちから調べ始めた医療保険。
医療保険に入るとしたらどんなものがよいのか、日本人の死因の上位にがんがあり続けることを考えると、
がん保険にも入るべきかと悩んだ波川さんは、保険のエキスパートである菱村さんに相談に行くことにしました。

医療保険とがん保険の特徴と2つのタイプ(定期・終身)を知る

波川さん:病気やケガで入院したときのために医療保険を考えていたのですが、ウェブで調べてみるとがんへの備えも心配になってきて、選択肢に悩みます。医療保険とがん保険、どちらにも入るべきですか?

菱村さん:医療保険」とは、病気やケガでの入院や手術、そして最近では先進医療の費用をカバーする保険のことを言います。がん特約を付加しなかったとしても、がんの治療を目的とした入院給付金や手術給付金はしっかりと支払われる点がわかりづらい部分。「がん特約をつけないとがんは一切保障されないのでしょうか?」とよく聞かれますが、そんなことはありません。

一方、「がん保険」は、がんに特化した保険のこと。
がんの保障は手厚い分、その他の病気やケガで入院をしても保障はされません。加入は医療保険・がん保険の両方でも、どちらか片方だけでもいいと思いますし、医療保険にがん保険を特約でつけるという選択肢もあります。

がん特約は保障のコストパフォーマンスはよくなりやすいですが、そもそも特約が必要かどうかについては見極めが必要ですね

上記をふまえて、菱村さんは医療保険・がん保険を選ぶときに考えるべき項目を2点、波川さんに教えてくれました。ここを抑えて波川さんに合った保険を具体的に考えてみましょう。

項目1: 病気やケガをして入院する際に必要な金額について考える

菱村さんによると、最初に考えるべきは、入院の際にいくら必要になるのかということ。厚生省の資料をベースに考えてみると、30代の波川さんが1日入院した場合にかかる費用は下記のとおりになります。

差額ベッド代(社会保険適用外分):6,000円
食費(1日3食)        :およそ 1,000~1,500円
保険適用外の治療費・薬剤    :自費診療

家族が見舞いにくる交通費や入院中にかかる雑費を含めると、入院した場合にかかる1日あたりの医療費総額は、13,000 円前後となるそうです(こちらは30代の人が入院した際の1日あたりの医療総額の平均価格)。

例えば30代から増加し始め、40歳代後半から50歳代前半にピークを迎える乳がん患者の入院日数は、およそ4~12日、平均入院日数は11 日。入院1日の必要平均額を参考に計算すると、13,000円×11日=143,000 円となります。

この金額は貯蓄で支払うか、民間の保険で準備するかを判断するときの一つの目安になりそうです。大きな病気などで長い入院になった場合は、月に20 ~30 万円かかることもあるそうです。入院中にかかるお金には、高額療養費制度が適用される場合もありますので、チェックしておくようにしましょう。

※参考:公益財団法人生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」
厚生労働省HP掲載 中央社会保険医療協議会 第248回総会 主な選定療養に係る報告状況
厚生労働省HP「食費負担額について」

項目2:加入する保険のタイプを選ぶ(定期もしくは終身)

次に民間の保険で準備をしようと考えた場合、医療保険・がん保険には、定期・終身と2つのタイプがあり、保険に加入する際には、1タイプを選んで加入することになります。それぞれに特性があるので、現在のライフスタイルに合った方を選ぶようにしましょう。

定期タイプ:一部例外を除き掛け捨ての保険がほとんど。更新時ごとに保険料が上がっていき、一定期間で保障は終了しますが、月々の掛け金は終身タイプよりも安いところが魅力です。

終身タイプ:加入時から掛け金がずっと変わらず、保険料を払い終えれば※保障も一生涯続きます。終身タイプを選んだ場合は保険料の支払い期間について考える必要があります。

※ 終身タイプを選んだ場合:保険料の払込期間を決める

医療保険選びで盲点になりやすいのがこのポイント。終身タイプには2つの支払い方法があります。
ひとつめは生涯の保障に対して一生保険料を払い続ける「終身払いタイプ」で、月々の負担が軽くすみます。

ふたつめは60 歳や65 歳までなど、決まった期間で払い込むものや、10 年間で払い終える「有期払いタイプ」。こちらは「終身払いタイプ」よりも毎月の保険料が割高になります。ただし、どちらの払い方が結果的にお得になるかは、「何歳まで生きるか」次第

そのため現実的には加入期間で損得を判断することは難しいといえます。ただ、波川さんの年齢(36歳)から考えると、73~76歳よりも長く生きた場合には、支払総額から考えれば「有期払いタイプ」の方がお得になる可能性が高いようです。こうしたことも払込期間を選ぶ際の参考にしてみましょう。

<参考>
これは波川さんと同じ36歳の女性が終身タイプに加入した場合の、ある保険のサンプルプランです。支払い方法によって実際どのくらい変わるでしょうか?

※3つとも同じ(スタンダードな)保障内容で設定しています。

毎月の保険料は下記のとおりです。

(有期払いタイプ)
60歳払・・・5,456円/月
65歳払・・・4,660円/月
(終身払いタイプ)
終身払・・・3,212円/月  

一方、被保険者が平均寿命の89歳まで生きたと仮定したときの掛け金の総額は…

(有期払いタイプ)
60歳払・・・5,456円×12ヶ月×24年=1,571,328円
65歳払・・・4,660円×12ヶ月×29年=1,621,680円
(終身払いタイプ)
終身払・・・3,212円×12ヶ月×53年=2,042,832円
となります。

つまり掛け金の安い・高いの判断は、毎月ベースで見るのか一生ベースで見るのかで、いくらでも逆転してしまうということが分かりますね。

保険の加入前に知っておきたい高額療養費制度の特徴と条件

波川さん:病気やケガをして入院した時にかかる費用の目安と、医療保険の支払方法についてはよく理解することができました。けれども入院が長期になったとき、がんになったときのことを考えると、保険のほかに貯蓄もしておいたほうがいいような気がしますが、どうでしょうか?

菱村さん:確かに不安になりますよね。ここで押さえておいていただきたい、もう一つのポイントが「高額療養費制度」の存在です。これは入院や通院などで支払った医療費が一定額を超えたとき、一部の金額が払い戻される制度のことです。収入の金額にも左右されますが、例えば標準報酬月額が28 ~50 万円の方であれば、

80,100 円+(総医療費-267,000 円)×1 %

参照:全国健保協会

が、自己負担限度額となります(自己負担限度額は収入によって変動します)。収入が少ない人ほど自己負担額は軽く、収入が多い人ほど自己負担額は重くなります。(平成27 年1 月1 日現在)

この制度があることを考えれば、今の不安もずいぶん軽減されるかと思います。ただし高額療養費制度には2つの条件がありますので、ここをチェックしつつ、これまでに説明をしたことを総合的に考えて、貯蓄で賄えるのか民間の保険に加入するのかなど、検討してみるとよいかと思います。

条件1:健康保険適用外の治療には対応していない

高額療養費制度は健康保険適用外の治療には対応していません。
そのため食事代や差額ベッド代、出産などは自費診療となります。例えば乳がんの場合、再建術は美容とみなされるので健康保険適用外。

そのため高額療養費は適用されず、全額が自己負担となります。その他、先進医療や新薬に300 万円以上かかることもありますが、こちらも保険適用外になる場合があり、注意が必要です。

条件2:入院期間は「月初から月末まで」を基準に考える

高額療養費制度は、「月初から月末まで」にかかった医療費が一定の額を超えた場合に一部払い戻しがある制度。入院や手術期間を調整することはなかなか難しいとは思いますが、入院期間は月をまたがないようにした方が得をすることもあるという意識をもっておくとよいでしょう。

保険のエキスパート菱村さんにお話を伺ったことで、医療保険を選ぶ時のポイントや高額療養費制度で支払金額が軽減されることを知り、安心した波川さん。色々と考えて、いま入るべき保険が見えてきたようです。
保険を考えることは、人生を考えるということ。ご家族の生き方をじっくり考えて、納得のいく保険に出会えるといいですね。

今回の記事と一緒に読むことで、より保険のことがわかります。ぜひ参考にしてください。
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プロフィール

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ウーマンライフエキスパート : 菱村 真比古(ひしむら まさひこ)

中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャル・プランナー。結婚や住宅購入のほか、社会保険制度が複雑に絡むライフプランをシンプルに紐解きます。柔軟かつ合理的な相談対応力で活躍中の「女性の人生を豊かにクリエイトするお金と保険のエキスパート」です。

得意分野 : ライフプランニング、住宅ローンアドバイス、相続の準備と対策
保有資格 : トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、DofD認定プロデューサー(T-PEC社認定)、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、公的保険アドバイザー®

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