知らないと損をする? 遺族がもらえる「社会保障制度」

前回のVol.1で、保険のエキスパート菱村さんに、保険の選び方についてのアドバイスをもらった波川さん(36歳・商社勤務)。
保険の種類や加入のポイントがわかり、ますます興味が湧いてきました。
Vol.1【基礎知識】初めての保険の選び方。あなたにとって保険は必要ですか ?

現在、ご主人は会社を休職し、大学で資格を取得するために勉強中。
波川さん自身が稼ぎ頭として生活を支えていますが、将来はご主人が会社に戻り、一家の大黒柱となる予定です。

今回、波川さんが知りたいのは「社会保障制度」について。
ご主人の復職後 に万が一のことがあったとき、残された波川さんと2歳のお子さんが生活していくにはいくら必要か、菱村さんに詳しく聞いてみましょう。

会社員の夫に万が一のことがあった場合 ~国からもらえる社会保障制度の種類


まず、家計を支えるご主人が死亡された場合と、病気やケガで長期間働けない場合に分けて考えてみましょう。

(1)ご主人が亡くなってしまった場合

国民年金からは、お子さまが 18歳に到達して最初の3月31日(年度末)まで「遺族基礎年金」が支給されます。

厚生年金に加入している場合は「遺族基礎年金」に加え、お子さまが18歳の年度末を迎えるまで「遺族厚生年金」を受給できます。

(2)ご主人が病気やケガなどで長期間仕事ができない場合

1~2か月程度の入院であれば、有給休暇をとり、入院費用は預貯金を利用して乗り切れるかもしれません。
しかし 2か月以上の長期の入院になると、会社によっては休職扱いになり給料が支払われないケースもあります。

病院と会社、双方から仕事をすることができない状態と判断された場合には、健康保険の「傷病手当金」を受給できます。

この制度は、働くことのできない期間(最長で1年 6か月)の生活費を保障するもので、平均給料額(平均標準報酬月額) の3分の2程度を受け取ることができます。
業務外による病気やケガが対象で、業務上や通勤途中のものは労働災害保険の給付対象となります。

ご主人が心身に障害をもち、日常生活や仕事に支障がでるようになってしまった場合は「障害年金」の対象になることも。医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合には「高額療養費制度」が払い戻される可能性もあります。

また「介護保険」の特定疾病などの要件に当てはまれば、40歳から64歳までの間は介護サービスを受けることができます。

いずれにせよ、ご自分で申請しなければ受給できないものが多いのが事実。
万が一のために、どのような社会保障制度があるのかを知っておくと、いざというときに役に立ちます。

万が一、主人が亡くなってしまったとき、どのくらいお金が必要? 「遺族年金」の受給期間と受け取れる金額


■死亡直後にはいくら必要か

一般的に、葬儀代で200万、お墓代で300万円ほどが必要になると考えられています。

■遺族年金はいくらもらえるのか

国民年金の場合、お子さまが18歳になるまで「遺族基礎年金」を年額780,100円受給できます。
これに加え、お子さまがおひとりいらっしゃるので 224,500 円。合わせて年額 1,004,600 円、月額にして83,716円が受給できます。

厚生年金からは、波川さんが65歳になるまで「遺族厚生年金」が支給されます。
では波川さんのように配偶者と18歳未満のお子さま1人の場合に受給できる金額はいくらでしょう。

遺族厚生年金は、ご主人の加入期間や平均給料額(平均標準報酬月額)によって金額が決まります。

例えば平均標準報酬月額が25万円では遺族基礎年金と合わせて月11万円ほど、35万円では月12万円ほどが支給されます。

お子さまが18歳を過ぎ、遺族基礎年金受給期間が終わったあと、波川さんが40〜65歳の間は「中高齢寡婦加算」に切り替わり、遺族基礎年金学の4分の3、年額 585,100円(平成27年度)を受け取ることができます。
これは遺族厚生年金と合わせておよそ月8万円ほどになります。

2人以上の家族1世帯当たりの消費額は、普通の暮らしで24万円ほどと言われています。今、ご主人がお亡くなりになった場合、生涯で受け取れる遺族年金は平均しておよそ月8万円。
波川さんの家庭ではその差額の月16万円を何で補うのかがポイントになります。

生活に必要な金額(24万円)-遺族年金等(8万円)=不足金額(16万円)

不足金額を収入で埋めるのか、預貯金でまかなうのか、掛け捨ての保険、もしくは終身保険でカバーするのか。
どの選択が、ご家族とってベストかを比較検討し、万が一のために備えることが大切です。社会保障制度を知ることで、無駄のないライフプランを立てましょう。

私が死亡した場合、夫や子どもは「遺族年金」を受けとれるの? 「遺族年金」を受給できる条件とは

波川さんが亡くなった時点で、お子さまが18歳以下、ご主人が55歳以上かつ年収850万円未満という条件を満たしていれば、月3万円ほど受給することができます(平成26年 4月~)。

中高齢寡婦加算については夫が死亡した際の妻のみに限られますので、お子さまが18歳を迎えても受給することはできません。

遺族基礎年金の支給には保険料納付条件がついています。
受給資格である「保険料納付済み期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること」という条件を満たしていない場合は受給できないこともあります。

つまり妻が亡くなった際に夫が受け取れる遺族年金は、だいぶ厳しい受け取り条件になっていることがうかがえます。

加入している年金やお子さまの人数、年齢で受給額には幅があります。
安定した生活を送るためには、社会保障で受け取れる金額に加えいくら必要なのかを判断してから、保険の加入を検討してみてください。

社会保障制度は、国民の最低生活水準を保障するセーフティーネットです。生活の基盤にはなってくれますが、生活費用のすべてをカバーするわけではありません。

それぞれのご家庭の目標設定に合わせて、残されたご家族の生活を考え、不足している部分があれば、預貯金や民間の保険で補うことも賢い選択。
社会保障制度を押さえたうえで、ぴったりの保険商品を選んでください。

万が一のときの社会保障制度について理解した波川さん。まだ医療保険やがん保険と、医療保障の関係についてご相談があるそうです。
引き続き次回のVol.3で菱村さんが疑問を解決に導いてくれます。

* 社会保障制度、それに基づく計算はすべて2016年4月現在のものです。
* 金額は波川さんの家庭状況においての試算です。

参照 : 日本年金機構 HP

プロフィール

rc%e8%8f%b1%e6%9d%91%e6%b0%8f

ウーマンライフエキスパート : 菱村 真比古(ひしむら まさひこ)
中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャル・プランナー。結婚や住宅購入のほか、社会保険制度が複雑に絡むライフプランをシンプルに紐解きます。柔軟かつ合理的な相談対応力で活躍中の「女性の人生を豊かにクリエイトするお金と保険のエキスパート」です。

得意分野 : ライフプランニング、住宅ローンアドバイス、相続の準備と対策保有資格 : トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)、ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)、DofD認定プロデューサー(T-PEC社認定)、住宅ローンアドバイザー(一般社団法人住宅金融普及協会)、公的保険アドバイザー®

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

LAIFの人気記事をお届けします。

Writerこの記事を書いたライター

LAIFadmin

あわせて読みたいこちらもあなたにおすすめです

知らないと損をする? 遺族がもらえる「社会保障制度」 ページTOPへ戻る